なのは長編小説(1)

□Burning air force(その2)
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第四話:それは、新たな日々の始まり


夕闇に染まっていく、クラナガンの街 
その雑居ビルの屋上に、一人の少年が佇んでいた
その顔を、仮面で覆い隠して

キイ

ドアが開き、小柄な少女が少年の後ろに来る
「やぁ、ルーテシア」
振り向かず、少年は、少女、ルーテシアに声を掛ける
「ごきげんよう」
少年の声に、短く応えモニターを開く
『やぁ、元気そうだね、シャドウ』
モニターに映し出されたのは白衣の男 
それを見て、シャドウと呼ばれた少年が、チッ、と舌打ちする
「お陰様で…、Dr.ジェイル・スカリエッティ…、今日は、どう言ったご用件なんですか、昼間みたいな真似は、やめてくださいよ」『あれは、私の玩具が勝手にしたことだ』
「例え、そうだとしても、もし、罪もない人が、傷付くようなことがあれば、分かっていますね…」
そう言い、シャドウは手にしている剣を、画面上のスカリエッティに突き付ける
『分かってるよ、それで、今回は君にも、そこのルーテシアと一緒に、戦ってもらいたい』
「場所は?」
『ホテル・アグスタ、近々そこで、ロストロギアのオークションが行われる、それに僕の玩具も向かうから』
「分かりました。それと、アレの調査も…、よろしく頼みますよ」
『あぁ、アレは私にとっても興味深いからね、君に協力するつもりだよ』
「それでは、出来れば二度と顔を見たくないですが、ごきげんよう、ドクター」
『あぁ、ごきげんよう』
通信が切れたところで
「はぁあぁ」
シャドウが溜め息をつく
「あなたは…、ドクターが嫌い?」
ルーテシアの問いに、シャドウは「当たり前だよ、あんなヤツ」と答え、手にした剣をコインに変えて、歩き去ろうとする 
すれ違い様に
「私は嫌いじゃないよ、ドクターも…、あなたの事も」
言われた、ルーテシアの言葉に、手を振って答え、少年は去っていった


………………………………


翌朝

ピピピ
ピピピ
ピピピ

「ん、ん〜ん〜」

布団から、手が出て

ピ…

まだ、電子音で訴え続ける目覚まし時計を止め

「ふぁ〜あ」
大きめのアクビを、しながら目を擦り、すぐ隣で眠る、愛しい人を見る
「そうか、昨日はカイリと一緒に帰ってきたんだ」
そこは、カイリが住まいにしている、中央区画内のマンションで、機動六課の隊舎からも、大して離れていない場所にあった
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