なのは長編小説(1)

□Burning air force(その3)
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第六話 それは、ティアナの憧れる気持ち


「レセナリア・レイアーズ、エルシオーネ・エスクード、ただいま、戻りました」
レセナが機動六課オフィスに戻ると、はやてが見知らぬスーツ姿の女性と向かい合うように、ソファに座っていた
「あぁ、お帰りぃ、エルに、お客さんが来とるで」
「お客さん?…、あ、あなたは」
ザン!
と、音を立て、エルが跪き頭を垂れる
「え?え?何ですの?」
うろたえるレセナ、女性とエルを交互に見ている内に、その女性は立ち上がり、振り向いた
「お久し振りですね…、エルシオーネ…、お仕事で、お疲れでしょう?頭を上げて、楽になさって下さい」
その女性は、エルシオーネの肩に手を乗せて、顔を覗き込む 
そうして、顔を上げたエルの言葉に、誰もが耳を疑った

「はい、勿体無きお言葉、痛み入ります“女王陛下”」

しばらく沈黙
「あぁ、そうなんや、なんや普通やから、わからへんかったわ…、ふうん…、女王様やなぁ…」
はやてが納得したように、何度も頷き 
その傍らで、リィンフォースUが「はやてちゃん?」と心配そうにしている

しばらく、書類の束を整えたり、カレンダーを捲ったり、そわそわしたあと…


「いぃ〜ーー!?」

はやての叫びが、オフィスにこだました 
「え?ちょ、おま、いい〜〜?」
何度も叫びながら、目を白黒させて女性とエルを交互に見る 
レセナも、驚いたように女性を見つめている 


はやてが、落ち着く頃

「自己紹介が遅れて、申し訳ございません…、私は聖魔術国家ロザウスが国王、フィリス・ロザウスと申します」
慈愛を表現するように、微笑む女性、女王フィリスの笑顔は、同性であるレセナが見ても、ドキッ、と、胸が締め付けられてしまう程美しく、暫し見とれてしまった

我に返り、はやてに念話で呼び掛ける
『八神部隊長、隊舎に入ってきた時点で、気付きませんでしたの?』
『それがやな、エルに用がある、言うてな、正面から堂々と入ってきたから、聞きそびれてしもうたんや』
『まったく…、この女王様も、人が悪いですわね、ねぇエルさん?』
次に、エルの方を見る 
そのエルの顔は、壊れた信号機のように、赤くしたり青くしたり、色とりどりに変わっていた 
レセナが呆れていた頃
「あの…、はやて様?」
「は!はぃ!」
女王フィリスから話しかけられ、はやては思わず声が上がってしまった 

その様子に、少し驚きながらも
「これを…」
と言って、封印処理が施された宝石…、レリックを差し出した
「これは、ロングバード盗賊団より奪い返した物、もしや、あなた達と関係があると思い、こうして届けに参りました」
女王フィリスの言葉に、レセナが驚く
「ロングバード、て…、エルさん、あの時の!?」
「空月山に現れた、盗賊ですね、ですが…、じょ…」
エルの言葉を途中で遮るように
「ロングバード盗賊団には、私達も手を焼いていました、今回は何とか奪い返すことができましたが、また現れると思うと」
話し始め、薄く涙を流し 
一度、チラリとエルを見て、また顔を俯かせる
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