なのは長編小説(1)

□輝ける風と燃え盛る炎は(その三)
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第九話:それは、母親としての強さの証


海の上で、リンディは腕を組んで、デストロイマーダーの意思と向き合っている
「母さん…」
クロノが驚きの表情で、リンディを見る
「クロノ提督とカイリ捜査官は、アースラに戻りなさい、これは、命令です」
リンディから言われた通り、クロノとカイリは時空転移する

『ほぉ、母親と言うことは、あの馬鹿な奴の女か、滑稽だな、よくそんな奴と“寝た”ものだ』
「お生憎様、私は、そんな馬鹿な人を今でも愛してるの、そう…他人の為に自分を犠牲に出来る、クライドさんが!」

バキ!

その瞬間、リンディの拳がデストロイドマーダーの意思の頬に、めり込む
「ぬああああぁぁぁぁ…」
きりもみながら、デストロイマーダーの意思がブッ飛ぶ
「馬鹿なぁ!俺は最強のデバイス、その管制人格、ただの女にやられる…ぶふぁは!げ、が…」
更に、リンディはボディブローをデストロイマーダーの意思の腹に当てる
まるで、内蔵を潰される痛みが、デストロイマーダーの意思を襲う
「貴方に分かるかしら?大勢の局員を助けるために、最後まで艦に残った。クライドさんの気持ちが!」
更に回し蹴りを後頭部に当てる、吹き飛ぶデストロイマーダーの意思の座標を、一瞬で算出、その座標に転移して拳を当てる
さらに吹き飛ぶ
さらに座標を算出して、転移する
そして、攻撃を加え、吹き飛ばす
その繰り返し
それは、ジュエルシードによる時空震を抑えるほどの魔力を持った、リンディならではの、技術だった
「何故だ!なぜ勝てん!」
「教えてあげるわ、貴方は私を本気で怒らせたのよ…、私の愛するクライドさんを侮辱した罪、そして愚かな野望のために、色々な人を傷付けた罪、死んでも許されないと…」
腰を低く構え、右腕に魔力を集中する
「…思いなさい!」
全魔力を込めたパンチが、デストロイマーダーの意思の顔面に当たる
デストロイマーダーの意思は吹き飛び、港のコンクリート壁に穴を開けて、海面に激突する
「馬鹿な、強い強い強すぎるー!」
地上に出てきた、デストロイマーダーの意思は、後ずさる
だが、すぐにリンディの両足に阻まれる
「あら?何処に行くのかしら?困った坊やでちゅね〜」
すぐ背後に転移した、リンディを見て、デストロイマーダーの意思は呟いた
それは、長い間忘れていた感覚
いや、ラクタイン自身が産まれて初めて味わう感情


「コワイ…」


それは恐怖だった
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