なのは長編小説(1)

□輝ける風と燃え盛る炎は(その五)
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第十七話:それは、守るべき大切な人のために



その頃、薬物搬入口から入った場所の地下室

他の二組同様、なのは達も時空転移していた

そこはまるで広い闘技場のようだ

「ぐ〜ふふ〜、やっと〜ぅ出番だな〜」
ブルッバーが、のっそりと立ち上がり、なのは達を見る
「カイリ君、よく見ててね、戦い方を教えてあげるから」
なのはがレイジングハートを構えながら、カイリに言うと、カイリもシャイニングホープを握る
「あの、ですが僕も…」
戦います。と言おうとしたが、なのはが憂いの表情を浮かべていたため、言えなかった
「カイリ君…、ごめんね」
「なのは!」
「ヴィータちゃんも、お願い」
なのはから言われて、ヴィータは嫌な予感がした
そして思い出した



容赦無く降り積もる雪
崩れ落ちる焼け跡…

そして
虚しく響きわたる
助けを求める自分自身の、泣き叫ぶ声と、虫の息ながらも励ます、白い服の魔導師の声…


いつも通りだと思っていた
無敵のエースは、そんなときにも笑っていたから

それを壊したのは、自分自身の油断だった


その日以来
ヴィータは心に誓った
“鉄鎚の騎士の誇り”に賭けて、あたしの大切な人は…

「あたしが守る!」
グラーフアイゼンを起動させようとするが、なのはが、それを押さえ、首を横に振る
「駄目だよ、ここは私に任せて、ヴィータちゃんは、カイリ君を守って、この前みたいにはならないから」
なのは自身も、ヴィータの気持ちは分かっていた
だからこそ、カイリに教えたかった
“戦う”事の厳しさを
なのははブルッバーに向き直り、ユーノに教えてもらった、最上級の結界を張る

決戦用封鎖結界

それは目に見えないものの、中への侵入を許さず、中にいる者の脱出も許さない、出るには互いに、どちらかが倒れる事

なのはは一騎打ちを望んでいた

「やるよ、レイジングハート」
『OK my master』
カートリッジをロード
その隙を見逃さず、ブルッバーがタックルでなのはに突っ込む
だが、そこに、なのはは、いなかった
「ど〜こうだ〜」
ブルッバーが周りを見渡す
なのはは上空にいた
「良い?カイリ君、こう言う相手の場合、攻撃の後に必ず隙が出来るから、その瞬間に攻撃」
『divine shooter』
ディバインシューターを発射
しかし
「いただきまぁ〜す」

ばく

ブルッバーに吸い込まれ、消失してしまう
「まだだよ!」
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