なのは長編小説(1)

□輝ける風と燃え盛る炎は(その一)
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「レティ提督!申し訳ありません!僕の魔力コントロールが足りないばかりに、迷惑をかけてしまって、僕はどんな処分でも受けます。ですが、高町教導官だけは、許して下さい!」
カイリは、そう言って深々と頭を下げて、レティに謝ると、なのはは慌てた
「カイリ君、カイリ君は悪くないよ、私から模擬戦をしよう、て、誘ったんだもん」
なのはが、カイリをかばうのを見て、レティはヤレヤレと溜め息を付いて、どこか懐かしい雰囲気を感じた
「良いわよ、焼け焦げたのは演習場の一部分だけ、怪我人も出てないし、今日の所は大目に見るわよ。ただし!今度、模擬戦をやる時は、魔力コントロールを十分に行うこと、良いわね」
「はい、失礼します」
レティの言葉に、二人は敬礼で返して、その場を後にした
去り行く二人の背中を見て、レティは思う
(まるで、あなたとクライドさんを見てるみたいね、あの時は立場が逆だったけど)
レティは、ふと、クロノとフェイトの両親が、まだ新入りの捜査官だった頃を思い出した

[私が、魔力を抑えられなかったせいで、クライドさんに怪我を、させてしまって]
[いや、リンディは悪くない、そもそも、僕から模擬戦に誘ったのだから]
若かりし頃の、ギル・グレアムの前で二人が中睦まじく、お互いを支え合い、助け合ってるのを、何度か見たことがある
結果、双方共に二ヶ月間のトイレ掃除を言い渡されたが
そんなこともあり、二人は結婚、後にクロノを授かるが
その幸せは長く続かなかった
ロストロギア、闇の書の発動、その事故で、リンディは最愛の夫を亡くしてしまう
その葬儀の席で、リンディは
「これからは私一人でクロノを育てなくてはいけないのだから、しっかりしないと」
と気丈に振る舞っていたが、その夜、一人で机に突っ伏して、小さな子供のように泣いていたのを、レティは偶然見てしまった。親友として、最初は声を掛けようと思ったが、そう、すべきではないと、自分を抑えた。今、下手に慰めようものなら、彼女は絶対に、レティを恨むだろう
それ程までに、リンディはクライドを愛していた。そして、その想いは変わっていない
闇の書の事件が解決し、息子が来年には成人する今でも

れてぃ…、レティ
「レティ提督!」
かなり長い間、思い出に浸っていたせいで、後ろに人が居た事など気付いていないでいた
振り向くと、新しく、ハラオウン一家の一員になった娘、フェイトが心配そうな顔で、レティを見ている
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