なのは長編小説(1)

□輝ける風と燃え盛る炎は(その一)
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「あの、なのは達が演習場を壊した、て聞いて、それで…」
「大丈夫、別に処罰を与えよう、て訳じゃないわよ、少し、お説教しただけ」
大丈夫よ、と、もう一度、レティが言うと、フェイトは頭を下げ、なのはが去って行った方向へと駆け出した
「本当、あの子は良い友達に恵まれてるわね」
そう呟くと、レティは貯まりつつある仕事に向かうため、持ち場へと帰っていった

その頃
「ほう、それがジブリールか、炎を出す点では、私のレヴァンティンと同じだな」
シグナムは感心したように、カイリのジブリールを見ている
管理局の談話室で、八神はやてと守護騎士ヴォルケンリッターに、カイリを紹介していた
「それで、カイリ君て、どこに住むか決まってんの?」
はやてが興味深そうに、カイリを見ている
「はい、海鳴市内のマンションに引っ越そうと思います」
「そうなん?ほんなら、一緒に遊べるやん」
その、はやての言葉を聞いて、カイリは、慌て出した
「そんな、一緒に遊ぶだなんて、八神特別捜査官、僕は、まだ未熟者です。そんな事は…」
「ストップ!」
その、カイリの言葉を途中で止めたのは、ヴィータだ
「なんかさぁ、お前のはやてを呼ぶ時の言い方、変だろ」
その、ヴィータの言葉を聞いて、カイリは意外そうな顔をした
「え?何か変ですか?八神特別捜査官」
「それだよ!」
ヴィータから、そう言われて、カイリは、ビクッとした
「その、やがみとくべつそーさかん、て言うの辞めて、普通に、はやてなら“はやて”て、呼べねえか?」
一同がカイリに注目した
「うーん、そうだよね、それじゃあカイリ君、私の事、なのは、て、呼んでみて」
なのはがカイリに、そう言うと、カイリは汗だくで、口を開いた
「高町きょー、いや、なのは…、さん」
「はい、カイリ君」
そう言って微笑む、なのはを見て、カイリは顔を赤くした
その時、なのはのスカートのポケットから音楽が流れ、携帯電話に出る
「はい、あ、お姉ちゃん、うん……、晩御飯には帰るから…そうだよ……、あ、それと」
なのはは受話器を手で押さえると、カイリに向き直り
「ねぇ、カイリ君、これからヒマ?」
「はい、特別な用事は、ありませんが」
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