なのは長編小説(1)

□輝ける風と燃え盛る炎は(その一)
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第二話:それは桃子さんの、美味しい料理を食べながら

海鳴市、高町家のダイニングキッチン
翠屋の後片付けで遅くなる、長兄、高町恭也を除く、なのはの家族が食卓についていた
「カイリ君、遠慮しないで、どんどん食べてね」
なのはの母親、高町桃子が、カイリの皿にパスタを入れながら、話しかける
「でも、僕、そんなに食べれません」
「そうだよ、カイリ君、母さんの料理、とっても美味いんだから、沢山食べないと駄目だよ」
遠慮するカイリに、なのはの姉、高町美由紀が勧める
「そうだ男の子は、沢山食べた方が良いぞ」
なのはの父、高町士郎も、美由紀と同じように、料理を勧めている、高町家では、ごく普通の団欒風景だが
「ん?どうしたの?カイリ君」
なのはがカイリの顔を覗き込むと、カイリは微かに涙ぐんでいた
「お料理、お口に合わなかったかしら?」
桃子が困ったように言う
「いえ、そんな事ないです」
そう言って、シチューをすすると、カイリの口に、暖かな感触と共に、コクのある味が広がり、それで勢いが付いたのか、五杯のおかわりをした
ちなみに、後から帰ってきた恭也が悲しい思いをしたのは、また別の話

「沢山食べていたね、カイリ君」高町家のリビングで、テレビを見ながら、なのはがカイリに言うと、当のカイリは赤くなって、うつ向いていた
「僕、なんて悪いことを、なのはさんと食事を御一緒させて頂いてるのに、あんな恥ずかしいことを…」
「カイリ君!」
ウジウジしている、カイリを、なのはが一喝する
「私、高町なのは戦技教導官からの命令を言います」
そう言うと、なのはは、カイリの目をジッと見つめ
「これからは、私の友達として遠慮しないで、困ったことがあれば何でも相談する事、できるでしょ?」
「しかし、僕は、なのはさんの…」
「友達だよ、なまえを呼んでくれたもん」
「はい、了解しました」
カイリの言葉を聞いて微笑む、なのは
それを見て、カイリの顔が、さらに赤くなる
「ねぇ、カイリ君、顔赤いよ。具合い悪いの?」
「いえ!そんな事は決してありません」
なのはが、心配そうに、カイリの顔を覗き込むと、カイリは顔の部位が分からないぐらい紅潮させ、座った状態で、後ずさった
そんな時の助け舟が…
「カイリ君…、だっけ、そろそろ帰らないと、家の人、心配するんじゃないか」
リビングに(機嫌の悪そうな)顔を出した、恭也(背後に妹を渡すかオーラを立たせた)が、近くの時計を指差す
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