なのは長編小説(1)

□輝ける風と燃え盛る炎は(その三)
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「何が怖いの?言ってみなさい」
リンディは優しく語りかける
しかし、その背後は怒りの炎で燃えていた
「ひぃ!」
情けない声を上げて、デストロイマーダーの意思が退けぞる

何とか、この場から逃げないと

そう考え、時空転移をしようと魔法陣を生成して
…消された
「まだよ、まだ、お仕置きタイムは終わらないわ…、例え許しを乞おうとも!」
手袋の上からでも、リンディの拳の骨がメキメキと鳴っているのがわかる


窮地を脱するため、デストロイマーダーの意思、いや、ラクタインは別の魔法を行った
その魔法陣はリンディの足元に生成
「ミストルティン・シンプルサブスタンス」
「な、それは…」
リンディの足元が、動かない
見下ろすと膝元まで、コンクリートのように固まっていた
それは、少しずつ上がっていき、「あ、あ、あぁあ…」
腰の辺りまで進んできたとき、デストロイマーダーの意思は腹を押さえて、叫んだ
「この屈辱、決して忘れんぞ!いつの日か必ず復襲してやる!」
「待て!逃がすか」
やっと目的地に着いたシグナムが、デストロイマーダーの意思に手を伸ばす、しかし、その手が掴んだものは空気だけ
既に転移は終了していた



そして、リンディの体は完全な石像と化した

『シグナム…、母さんを回収してくれ』
クロノの悲壮な声が、シグナムの頭に響く

「あぁ、了解だ」
シグナムが返事をしたとき、結界は解かれ、時間が動き出した
東の空に、朝日が昇り始める
「シグナムさんだっけ、カイリとクロノさんは?」
「シグナム、大丈夫?」
立ち尽くすシグナムの後ろに、アリーナとシャマルが飛んで来た
「それ、もしかして…」
シャマルが口に両手を当てて、目を丸くする
「そうだ、リンディ提督だ、ラクタインの手によって、石像にされた」
シグナムが悔しそうに、拳を握る
「シグナム!ザフィーラ連れてきた」
「すまぬ、これを取るのに手間取ってな」
ヴィータとザフィーラが到着 
ザフィーラが手を広げて、その中のバルディッシュをシグナムに見せる
「あたしは、これだ、デパートの屋上の真ん中に、あったんだ」
ヴィータの手には、レイジングハートが握られていて
「そうか、これで全て揃ったな」
シグナムの手には、リィンフォースが待機状態で握られていた
『とりあえず、一度帰還して…、リンディ提督の治療法は、今、ユーノ君が探してるから』
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