なのは長編小説(1)

□輝ける風と燃え盛る炎は(その三)
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エイミィの通信が終わると、六人の足元にミッドチルダ式の魔法陣が浮かび上がり、六人はアースラに転移した



午前六時、アースラ医務室では、リンディの石化を解くため、クロノ、エイミィ、ユーノ、シャマル、カイリ、アリーナの六人が集まっていた
「僕の見たところでは、石像になっているのは肉体だけで、内蔵や脳は正常に機能しているよ」
ユーノが眼鏡を指で上げながら答え、それを聞いたクロノ達が胸をなで下ろす
「そうか…」
それに、ユーノは「だけど」と付け加える
「だけど、何よ」
アリーナが少しイライラしながら、聞く
(僕の方が年上なのに…、なのはと同じ顔して、この子キツイよう)byユーノ
「こほんっ、それと言うのも、リンディ提督の魔力が石化魔法に抵抗しているからなんだ、それも、持って、あと…」
全員が固唾を飲んで、ユーノの言葉を待った
「一週間、それまでに、その魔法を掛けた術者…つまりラクタインが魔法を解くか、これだけは言いたくはないけど」
一瞬、ユーノは、カイリの方を見る
「カイリには辛いだろうけど、ラクタイン本人が死なない限り、解呪は不可能なんだ、カイリの気持を考えて、僕は前者が望ましいと思っている」
ユーノは言い終わると、カイリに謝った「辛いだろうけど、その時は、耐えてくれ」と
「大丈夫です…」
カイリは言った、思い切ったように
「僕は、父…いえ、ラクタインとは、今から親子の縁を切ります。あんな奴、父親だなんて思いたくありません!」
いつしか、カイリは叫んでいた
アリーナが悲しそうな顔で、カイリを見ているのに気付かず
「そうか、しかし我々としても前者、つまりラクタインの逮捕を優先したい、もう、五年半前の、プレシア・テスタロッサの悲劇を繰り返さないために、なんとしても一人の死者も出さずに、この事件を解決するんだ!」
それは、クロノの正直な気持ちだった
五年半前、実の母親から忌み嫌われていると宣告され、心身喪失状態になっても、虚数空間に落ちていく、その寸前まで母であるプレシアを信じていた、フェイトの事を思い、カイリにも同じ思いを味あわせたくないと考えていた
どんな悪人であれ、カイリにとっては唯一の肉親には違いないのだから
「それでは、今日は、これまでにしよう、それぞれ休息を取ってくれ、何かあれば連絡する」
クロノは「それと」と続けて
「アリーナは僕と来てくれ」
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