なのは長編小説(1)

□輝ける風と燃え盛る炎は(その三)
4ページ/19ページ

「分かったわ、私はデバイスを奪った実行犯だもんね、どんな罰でも受けるつもりよ」
「いや、アリーナに教えて欲しいんだ、ラクタインの居場所や、何を企んでいるかを」
「つまり情報が欲しいと…、言われなくても、あなた達に協力は惜しまないわよ、だけど…」
突然、アリーナが口ごもる
「私が知っているのは、教授の居場所ぐらいよ」
「それでも良い、今は少しでも情報が欲しい」
クロノは、そう言うと部屋を出て、アリーナも付いて行く



アースラ艦内のクロノの私室で、クロノとアリーナが向かい合わせに座っている、アリーナの隣には、カイリも座っていた
「それで、早速だけど、ラクタインは、どこにいるか教えてくれないか?」
クロノから質問され、アリーナは一呼吸置いて答える
「そうね、ガルディゼス地方、て、知ってるかしら?」
アリーナから、その地名を出され、カイリは驚いた
「アリーナ、そこは」
「そうよ、カイリ、私達の産まれ故郷よ。教授は、その山奥の古い屋敷を研究所にして、表向きでは五年前に死んだと思わせるために、偽名を使って、人との関わりを避けて暮らしていたの」
「ガルディゼス…、確かデバイスの開発者の中でも、トップクラスの者が集まり、ミッドチルダの中心クラナガンに並ぶ最先端技術を用いて研究を行っている、と、士官教導センターの講義で習ったことがある」
クロノは、ギル・グレアムの使い魔、リーゼ姉妹から教えて貰った内容を思い出しながら言った 
「なら、話は早いわね、教授はデバイスを傷つけられて身動きが取り憎いはずよ、今なら勝ち目があるかもしれない」
そう言うと、アリーナはバーニング・ディターマインを持って部屋を出ようとする
しかし、カイリがアリーナの手首を掴み、それを止めた
「駄目だよアリーナ、君も休まないと」
「そうだ、それに君の御両親も心配しているだろう」
そこまで言って、クロノは気付く
見ると、アリーナの表情が曇っていた
「私に親はいないわ、五年前、研究所の爆発事故に巻き込まれて…」
いつの間にか、アリーナの目からは涙が一粒、流れていた 
「すまない、知らなかったんだ」
クロノが謝罪すると、アリーナは首を横に振った
「良いわよ、もう昔の話だし」
アリーナは「それじゃ」と続けて
「私、もう行っても良いかしら?牢屋はどこ?」
「あぁ、ちなみに君は今、協力者の立場だから、専用の部屋を用意してある、場所はエイミィに聞いてくれ」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ