なのは長編小説(1)

□輝ける風と燃え盛る炎は(その三)
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第十話:それは“好き”と言う気持ちと、強さの意味


同日、午前八時、アースラは現在、時空管理局本局の二番ドックで整備及び補給を受けていた

本局内宿舎、大浴場にて
「みっともない所、見せちゃったかな」
湯船に入りながら、アリーナが呟く
その時、からからと引き戸を開ける音がし、フェイトが洗面器片手に入ってきた
「あ…」
最も気まずい再会だった
自然と横に移動してしまう
(どうしよ、何か言わないと…、えーっと、えーっと…)

チャポン

アリーナが何か話しかけようと、考えを巡らしていると、すぐ隣にフェイトが座っていた
「あの、カイリとは幼馴染みなんだよね?」
意外なことに、フェイトから話しかけられた、しかも話題の中心が、カイリなので、驚きが増して行く
「うん、何て言うか、弟分みたいな奴かな、昔は、そう思っていたけど」
アリーナは、話し始める、幼い頃、一緒に風呂に入ったことや、イジメッ子から助けた事
ある日、ラクタインの研究所に通い始めてからは、たまにしか会えなかったが、日に日に逞しくなっていくカイリに、幼い恋心を抱いていた事も話す
「アリーナは、今もカイリに同じ気持ちなの?」
「うん!大好き、私はカイリが好きよ!」
フェイトの問いに、アリーナは笑顔で答え、その答えを聞いて、フェイトの胸がチクリと痛んだ
「そう」
「だけど、何でカイリの話になるの?」
「え、それは…」
アリーナから聞かれ、フェイトは口元に笑みを浮かべ、顔を赤くして両手の人指し指を、突いたり離したりしている
「まさか、あなたもカイリが好きなの?」
アリーナから、ズバリ言われた瞬間
ボム、と音がなり、フェイトが顔を真っ赤にする
「そうか、敵わないなぁ」
「え?」
「だって、それ」
アリーナが指差す先には、フェイトの胸があった、それは発展途上とは言え、中学生にしては見事に成長している
これは、後で知ることだが、フェイトは、なのは達、三人の中でも身長が高いため、男性局員から絶大な人気があった
アリーナから指摘され、恥ずかしくなったのか、フェイトは二の腕で胸元を隠す
「譲るしかないかなぁ」
アリーナから意外な言葉が出た
「え?だって、アリーナさっき、カイリの事、大好き、て」
「大好きだからよ、私はカイリが大好きだから、カイリの気持ちを大切にしたいの」
「でも、それじゃアリーナの気持ちは…いつつ」
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