なのは長編小説(1)
□輝ける風と燃え盛る炎は(その六)
3ページ/11ページ
―もう!何度言えば分かるんですか!使った材料は棚に戻す!次は許しませんから!
―あなた!カイリが、カイリが熱を出したの
―あなた…、良かった、ただの知恵熱だって
―ねぇ、あなた…、初めて私と会った日のこと、覚えてます?
(初めて会った?)
そして、記憶は遡り
十五年前の、冬の夜
―初めまして、時空管理局執務官、エリーゼ・ルーキスウィンドです
エリーゼ…
エリーゼ…
「ぐ…、ぐぅぅぅ…、えりいぜ…、エリーゼ…」
気付けば、デストロイマーダーの意思は涙らしき、液体を流していた
その涙を見て、カイリは決意する
悲しい決意を
『クロノさん、お願いです。……の準備を』
『なっ…』
『お願いします』
『分かった。衛星軌道で待機する、目標の転送、しくじるなよ』
『了解しました…、ありがとうございます』
クロノに念話を送り、シャイニングホープを構える
「剣に集まりし、全ての光よ…、希望の光となりて、輝きを増し、呪われし闇を浄化せよ!愚かなる者に、等しき裁きを!」
『clearly flash sword』
バシュゥッ!バシュッ!バシュッ!
シャイニングホープ・ライトニングが、カートリッジを三発ロード、刃が巨大化する
「剣に集まりし炎よ、業火となりて、忌まわしき悪を浄化せよ!愛する人のために、力を貸して!」
『salamander blaze sword』
ボウ
ゴォォォォ…
バーニングディターマイン・エタニティの刃に炎が纏い、それがドラゴンを型どる
「「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーー!」」
二人の叫びを合図に
ズギューーーーーン!
ゴォーーーーーーー!
光が炎が重なり、巨大な魔力光になり
ドォッ!バァアッ
デストロイマーダーの意思に直撃
「強制転送!」
「目標!ウガリィ山脈上空!衛星軌道!」
「「転送ぉーーーーーー!」」
その頃、アースラ
「まさか、僕自身が、これを使うことになるとは」
クロノの手の中には、一つのキーが握られていた
紛れもない
アルカンシェルの発動キーである
キーボックスまで、歩みを進めて、クロノの指が震えている
「目標を確認!尚も再生を繰り返しています!」
「エネルギー充填、百%!」
あとは、キーを挿し込むだけだが、指先が震え、鍵穴に、はまらない