なのは長編小説(1)
□輝ける風と燃え盛る炎は(その六)
4ページ/11ページ
そんな時
ぎゅ
クロノの手に、温もりが宿った
「クロノ君…、私たちは夫婦になるんだから、助け合わないと、ね?」
すぐ横に、エイミィがいて、クロノの手を握っていた
「エイミィ…、分かった!アルカンシェル!」
二人力を合わせ、鍵を差し込み
[Locked]を[Open]に
アースラの先端に、環状魔法陣が三つセットされ、中央に虹のようなスペクトル光を放つ光が発生、強くなり
「着弾後、安全空域まで退避!アルカンシェル発射!」
ドッゴォォォォォ
光が射出
巨大化したデストロイマーダーの意思に着弾
アースラが退避してから、反応開始。光が膨れ上がって、キュッと収縮
「ぶぅぉぉおぉぉぉ!」
雄叫びを上げ、100km級の大爆発と共に、デストロイマーダーの意思は
ラクタインは消滅した
マスタ・リスクが砕けると共に…
―あなた…
―エリーゼ…、ワシらの息子は強く育ったな
―えぇ、強く、優しく育ちましたわ
―これで、安心だ…
『爆破地点に、魔力反応なし…、デストロイマーダー…、いえ、ラクタインの消滅と、リンディ提督の無事を確認…』
エイミィからの通信を受けても、誰も喜べなかった
「カイリ…、もう、無理しなくて良いよ」
アリーナの言葉を聞き、カイリの瞳から涙が溢れ、止まらなくなる
「うぅ…、うぅ」
「カイリは今まで、ずっと頑張ってきたもんね…、だから泣いても良いんだよ」
アリーナが騎士甲冑を解き、カイリを優しく抱き締め、頭を撫でる
「う…、う…、うわぁぁぁぁぁぁーーーーーっ…、あぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ…」
アリーナが撫でているのは、勇敢な騎士ではなかった、ただ、11歳の少年が悲しみに耐えられず、泣き叫んでいた
その泣き声は、誰の胸にも響いていた
最終話へ…