なのは長編小説(1)

□輝ける風と燃え盛る炎は(その六)
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そんな時


ぎゅ
クロノの手に、温もりが宿った

「クロノ君…、私たちは夫婦になるんだから、助け合わないと、ね?」
すぐ横に、エイミィがいて、クロノの手を握っていた
「エイミィ…、分かった!アルカンシェル!」
二人力を合わせ、鍵を差し込み
[Locked]を[Open]に

アースラの先端に、環状魔法陣が三つセットされ、中央に虹のようなスペクトル光を放つ光が発生、強くなり
「着弾後、安全空域まで退避!アルカンシェル発射!」

ドッゴォォォォォ

光が射出

巨大化したデストロイマーダーの意思に着弾

アースラが退避してから、反応開始。光が膨れ上がって、キュッと収縮


「ぶぅぉぉおぉぉぉ!」
雄叫びを上げ、100km級の大爆発と共に、デストロイマーダーの意思は



ラクタインは消滅した
マスタ・リスクが砕けると共に…

―あなた… 

―エリーゼ…、ワシらの息子は強く育ったな

―えぇ、強く、優しく育ちましたわ

―これで、安心だ…


『爆破地点に、魔力反応なし…、デストロイマーダー…、いえ、ラクタインの消滅と、リンディ提督の無事を確認…』


エイミィからの通信を受けても、誰も喜べなかった


「カイリ…、もう、無理しなくて良いよ」
アリーナの言葉を聞き、カイリの瞳から涙が溢れ、止まらなくなる
「うぅ…、うぅ」
「カイリは今まで、ずっと頑張ってきたもんね…、だから泣いても良いんだよ」
アリーナが騎士甲冑を解き、カイリを優しく抱き締め、頭を撫でる 
「う…、う…、うわぁぁぁぁぁぁーーーーーっ…、あぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ…」
アリーナが撫でているのは、勇敢な騎士ではなかった、ただ、11歳の少年が悲しみに耐えられず、泣き叫んでいた



その泣き声は、誰の胸にも響いていた




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