銀魂
□黒い嘘
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「ねぇ銀ちゃん 私サドと結婚するアル」
俺の彼女だったはずの神楽がいきなり妙な事を言い出した。
「ちょっ 何考えてんだお前……」
好きだったのは俺だけなのか?
何度も夜を越え愛を深め合った日々さえも全部
作り物だったのか?
「ごめんネ銀ちゃん」
神楽は申し訳なさそうに苦笑した。
何でだ 何で笑えるんだよ
俺は全然笑えないんですけど
ああそうか…
「……ざけんな…」
好きだったのは俺だけだもんな
「ふざけんじゃねーよ!!」
俺は感情的になり 加減する事も忘れて 神楽の頬を思い切り打った。
神楽は床に倒れ込む。
「痛…銀ちゃ…」
頬を押さえ込み涙を流している神楽を見ても俺は 何も思わなかった。
「……銀ちゃ…前に言ったアル…エイプリルフールは嘘ついていい日だって……ぅわぁぁぁん!!」
………はぁ!?
もしかして今日って──
俺は直ぐ様カレンダーに眼を向けた。
4月…1日……
「おま…まさか……嘘……」
そういえば昔──
『銀ちゃんエイプリルフールて何!?』
『エイプリルフールは嘘つき放題の日だよ』
『マジでか!!』
言ったわ……
「ごめん…神楽…!!」
俺は酷い罪悪感と共に泣きじゃくる神楽を強く抱き締めた。
「痛かったよな…」
そっと赤く腫れた頬に触れながらキスするように唇で涙を拭う。
それでも神楽の涙は中々途切れる事はない─
「神楽…ごめん……ごめんな……」
俺は神楽を自分の膝の上に乗せて後ろから腹に手を回し 頭を撫でたり首筋や耳にキスをしたりして懸命に慰めた。
その内神楽は肩の震えが段々と治まり やっと涙が止まる。
「ごめん神楽」
「うん…」
「でも俺 本気で嫌だったんだよ お前が俺以外の男んとこ行くのなんてさァ そんだけはわかって?」
「うん…私何処にも行かないヨ……ずっと銀ちゃんといるネ…ずっと……」
それから軽く唇を重ねて いつも通りの俺達に戻った。
エイプリルフール……
怖ェェ
-END-