おはなし

□三蔵とさんぞー
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「今日はこれにて終了する」

「ありがとうございました三蔵様!!」
「やはり我々とは格が違いますな」
と皆、口々に三蔵法師を褒めたたえた

「三蔵様、ご夕食でも御一緒にどうですかな?」
「いや、遠慮させ……」
「さんぞ―!!」



悟空が三蔵の方に向かって走ってくる。そのまま衝突しそうな勢いだったのにピタリと三蔵の前で止まった。


「今日の仕事は終わった?」
「まだだ。これから近隣の寺院へ行ってくる。」
「そっか……気をつけてな」
「あぁ。行ってくる」


最近、三蔵が忙しそうだ。部屋に帰ってくるとすっごく疲れてる。こうやって仕事してる時はそんな様子見せない。そんな姿は三蔵らしいが……



(心配なんだよなぁ。体壊さなきゃいいんだけど)


俺に何か出来ることはないのか?ここ最近、そればかり考えていた。

「でも俺じゃぁ無理だよなぁ〜」

でも、やれることはやりたい。そう思った悟空は走りだした。




「三蔵様にお休みを?」
「うん。三蔵、働きすぎじゃん?だから1日でいいから休みくれよ!?」

自分でなければならないと分かっているから、三蔵は休みたいなんて絶対言わない。
だから、俺が代わりに頼んでみることにした。


(三蔵が知ったら怒るかな?)



「お気持ちは分かりますが、最近は三蔵様への依頼が多くて」
「ど―にか出来ないの?」
「三蔵様ほどのお方、代わりの者などおりませんから……」


三蔵法師に代わりがいないってのは俺にだって分かる。けど……俺と一緒にいる時の『さんぞー』だって、代わりはいないのに



(寺院のほとんどが、三蔵法師だから変わりいないって……)


それでは三蔵法師でない三蔵はどうなるんだろう?


確かに三蔵はすごい人かもしれない。でも休みがなければ疲れるし、辛い時は辛いんだ。それは他の人変わらないのに……


(俺は何もしてあげられない)


暗くなり始めても、三蔵は帰ってこない。
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