ポケモンLongNovel

□コーディネーター誘拐事件(プロローグ)
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〜プロローグ〜


「ナナカマド博士、そろそろ休憩になさったらどうですか?」

研究資料をデスクに置きながら白衣を着た青年は尋ねた。

「いや。まだこの泉に生息されるポケモンについての研究レポートに目が通せていないのだよ」

「博士は最近ポケモンの生態についての研究もされながら、講演会やサマースクールへの参加までされて多忙な日々が続いているんです。少しはゆっくりなさって下さい!!」

青年は少しきつめな口調で言葉を返したが、その表情はどこか困ったように笑みを浮かべていた。

「うむ、確かに…。最近は少し根を詰めすぎていたのかもしれない。
だが、どれも時間を割いて参加する価値のあるものばかりだった。
人とポケモンとの触れ合いの場を増やす事で学ぶ事はとても多い。
今年のサマースクールでは特にそれを実感したのだよ…ポケモンとの交流によっ
てあの子達トレーナーにとっても良い刺激になったようだ」

サマースクールでの日々を思い出す様に、博士は窓の外を見つめながら語った。

「博士…もしかしてそれってサトシとアオイの事ですか?」

「フフ…気付いたかい?」

「ええ。だってあの子達を見つめていた時の博士の顔、本当に嬉しそうでしたから」

博士の笑顔につられて青年も微笑した。

「あの子達、私の授業中ほとんど寝ていたので本当に苦労したんですよ?」

「はは、クラスに1人や2人いるものだよ」

「でも…私もあの子達と出会えて本当に良かったと思っています。
あの子達の未来は無限に広がっているんですよね…」

「ああ、あの子達に負けないように我々も研究を続けていかなければ…」
「博士、その為にはしっかり体を休ませなければいけませんよ?」

青年は上手く話題を元に戻して話し掛けた。

「ははは、君にはいつも一本とられるよ」

「では博士、コーヒーを後でお持ちしますのでテレビでも見ていて下さいね」

青年は室内にあるテレビを指差しながらリモコンを手に取って電源を付けた。

『以上、現場からの中継でした。
続いてのニュースは、今月で11件目となる行方不明事件についてお送りします…』

キィ…

「博士、コーヒーお持ちしましたよ。
砂糖か何か入れられますか? ……博士?」

「…最近はこの話題ばかりのようだな」

博士は頷きながらTV画面を見つめていた。

「え?ああ…このニュースですか。
確かポケモンが行方不明になっているんですよね」

「中にはトレーナーも一緒に行方不明になっている件もあるそうだ」

「何か事件に巻き込まれていないといいのですが…」

「うむ…」

『…です。尚、行方不明となっているトレーナーは全員コーディネーターである
事が分かり、警察では誘拐事件としての線でも捜索を続けるとの報告がありました…』

「コーディネーター?そう言えばヒカリも確か…」

「うむ…。それにヒカリくん以外にもここから旅立って行ったトレーナー達の中にコーディネーターの道を歩んだ子も多い。
心配のしすぎかもしれないが、一応念の為に連絡を取ってみた方がいいかもしれんな…」

博士はゆっくりと席を立ち、研究所内の黒い受話器を手に取った。

「あ…博士、それは最近取り付けた研究員のみに指定された電話機でして、ヒカリ達に電話するのならロビーに設置された物でないと通話出来ないと…」

「ん…それなら私も知っているよ。
その前にちょっと連絡をする研究員がいてね」

「し、失礼しました!!
では、私も別のトレーナー達に声を掛けておきますね!!」

そう言うと慌てたように青年は研究室の扉を開けて外へと出ていった。

「もしもし、オーキド君かね。
私だ…、少し頼まれてはくれないか?」






その後、トレーナー達に一通り連絡が着いたのは夕方頃の事だった。



1人のコーディネーターを除いて…









TO BE CONTINUED...


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