ポケモンLongNovel

□ある少年の災難
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第2.5話 ある少年の災難



「は〜い!!一番はタケシ!!ビリはサトシに決定〜!!!!」

「ポッチャポッチャ♪」

「何言ってんだよ!!!!ポッチャマとピカチュウほぼ同着だったじゃないか!!」

「ちーがーいーまーすー!!
ポッチャマのクチバシの方がピカチュウより早く橋を越えたもの!!
そうでしょタケシ!?」

「あ、あぁ…まぁ、な」

「〜くそー、なんだよ何だってんだよ〜っ!!!!」

「ジュンみたいな事言わないの!!男なら負けを素直に認めなさい♪」

「あーもー誰だよ!!途中から手持ちのポケモンも入れて競争しよう何て言ったのは!!!」

「サトシが言ったんじゃない!!途中でルール変更していきなりピカチュウに“でんこうせっか”の指示なんて出すから!!!」

「そ…そうだっけ?」

「そーうーでーすー!!熱くなるとすぐムキになるんだから!!」

「あーあ…。こんな事なら普通に走ればよかったぜ…」

「自業自得よ!」

「〜!!!もとはと言えばヒカリが競争なんて急に言い出したからk

「ストーップ!!!!二人ともいい加減にしろよ!!落ち着くんだ!!
喧嘩なんてしてる暇があるんなら…暇があるんなら…

オレを、オレを早く助けてくれーっ!!!!!」


二人の口ゲンカを聞きながらそう悲痛に叫んだタケシは、ゴール地点の吊り橋を支える二つの主塔のうちの一つに見事引っかかっていた。
橋自体が決して高すぎるわけではないが、サトシ達が見上げて見る限り意を決して飛び降りるには躊躇(ちゅうちょ)する高さなのだ。
それとは逆に、見下げているタケシにしてみればかなりの高さに感じているだろう。
それに、例え飛び降りる決意をしたとしても
タケシの上着が主塔のでっぱりにこれまた見事に挟まっているので身動きが上手くとれない。

どうしてこんな事になったのか…。

タケシはここまでの成り行きを振り返りながら空を見上げた。
橋までの競争(罰ゲーム付き)が始まってしばらくした後、ヒカリとほぼ同じペースで走っていたサトシがいきなりピカチュウに技の指示を出したのが始まり。
せっかくだから手持ちのポケモンも加えて競争しようぜ!と言い出したのだ。
自分も参加出来ると分かったピカチュウは楽しそうにぐんぐんと差を広げて前へと走る。
サトシったらずるい、とヒカリもポッチャマを腕から解放して前へと走らせた。

自分はもともと二人の後ろにいたので最下位に変わりはない。
流石にこれはまずい、と思って一番手前にあったピンプクのモンスターボールを取り出し、走りながらボールを空高く放り投げ、光を放って登場したピンプクを空中でキャッチした。

本来ならウソッキーやグレッグルに頼んだ方が効率が良いような気がするのだが、慌てていたのでその時はそこまで思考が回らなかった。
事情を簡単に説明すると、抱き上げていたはずのピンプクにいつの間にか担がれ、プック♪と可愛い声を聞いたが最後、橋に向かって思いっきり飛ばされたのだ。

(そしてこの状況…か)

幸い、橋のメインケーブルがバネの変わりをして主塔への直撃も何とか免(まぬが)れたのだが…

相変わらずピンプクの怪力には驚かされる。

そういえば、以前立ち寄ったメイドカフェで出会ったアキにミルタンクのルータンと仲良くなる方法を教えていた時にも似たような事があった気がする。

(ああ…それにしてもあのメイドカフェのお姉さま方は美しかったなぁ…vvv)

今の状況とは全く関係のない事を考え始めたタケシだったが、下から聞こえてくる仲間達の声に気づいて再び下を向いた。

「ご、ごめんごめん!!ちゃんと助けるから、ねっ!?だいじょーぶ!!!」

「そ、そうだぜ!?あっ、グライオンならタケシを乗せて飛べるかも!!」

「風向き…思いっきり逆方向だぞ?」

「じ、じゃあマンムーにクッション変わりになってもらうとか!!」

「身動きがとれないってさっき言っただろ?」

「・・・・・・・・・」

((〜ど…どうしよう!!!!))



(だめだ、何も思いつかない!!)

(何で肝心な時にムクホークいないのよサトシ!!!)

(仕方ないだろ!昨日オーキド博士に研究に必要だからって頼まれて預けちゃったんだから!!!)

器用に心の中で会話しながら二人は額に嫌な汗をかきはじめた。

その時だった。

「プクプック♪」

二人の足元をすりぬけたピンプクが、タケシがぶら下がった主塔の前に立った。
そしてー…。

「ぎ、ぎゃ〜っ!!!!!落ちるーっ!!!」

「プックプック〜♪」

「「えっ!!!?」」

ピンプクがいきなり体当たりをした反動で主塔が揺れ、タケシの上着のひっかかりが外れた。
後は重力に従うのみ。

(もう一巻の終わりだーっ!!!)

恐怖にそのまま目をつむったタケシだったが、再び目を開けるとそこには心配そうに…というか驚いた表情のまま固まった仲間達と、下に落ちてきた所を軽々とキャッチしたピンプクの笑顔が目の前にあった。






TO BE CONTINUED...




あとがき...
第2話から3話の間みたいな感じです。
本気でスミマセン。
あ、ふりがなつけました←どーでもEyo
あっという間に街に着くのがつまらない気がしたので伸びてます(汗)
ここまでお付き合い頂きありがとうございました!!




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