ポケモンLongNovel

□よきせぬ再開
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(第2話 予期せぬ再開)



ヨツノハタウンに到着して二日目。
初めて迎えたサトシ達の朝は、とても清々(すがすが)しいとは言いにくいものになっていた。

「はっ。てんで弱いな、お前のポケモン!!!
オレならそんな弱くて負けるポケモンはすぐに逃がして捨てるぜ!!」

「そ、そんな…!!!捨てるなんて!!!」

ポッチャマも元気になり、朝食を終えて出かけようとしていたサトシ達の耳に聞こえてきた第一声がこれだった。
ポケモンセンターの敷地内の広場から聞こえてきたその発言は、サトシ達にとってあまり良いものではなかた。
当然、そのトレーナーに意見をしようと三人は自然と広場へ向かった。
案の定、そこには偉そうに見下した目をしている少年と、戦闘不能になったフシギソウを抱いて悔しそうにする少年…二人のトレーナーの姿があった。

「ちょっとあなた!!逃がすとか捨てるとか失礼じゃない!?
負けてしまったなら逆にもっとポケモンを強く育てようと努力すべきよ!!」

最初に発言したのはヒカリだった。
偉そうに立っているトレーナーの目の前に立ち、少年の反応を伺った。

「ふーん…ようするにお前も弱いポケモン連れて歩いてるんだな?
まぁ、女の子なんだから当たり前か?あっははははは!!」

「〜!!!な、なんですってーっ!!!」

我慢ならないと少年に掴みかかろうとしたヒカリを、追いついてきたタケシが押さえた。

「ん、何だ?お前らも何か文句あるのか?」

ヒカリの後ろに続いて着たサトシとタケシを交互に見た少年は強気な姿勢を崩さない。
自分は正しいとでも思っているのだろうか…。

「…ん?そう言えばお前らどこかで…」

少年は何か思い出しそうで思い出せないという顔でブツブツと小声で呟きながら考え始めた。
そんな少年を見たサトシとタケシも、そういえばどこかで…と少年と同様に考え始めた。

そんな三人を?マークで見つめたヒカリの耳元で、「あーー!!」というタケシの大きな声が響いた。

「ちょっ、タケシったら声大きい!!!叫ぶなら私を離してからにしてよね!!?
もう暴れないから!!」

「あー、悪い悪い!!」

慌ててヒカリの両脇を組んでいた腕を解放したタケシは、改めて少年に向き直った。

「君、確かカントー出身じゃなかったか?」

「ああ、そうだけど…〜っ!!!お、思い出した!!お前らあの時のーっ!!」

「!!!オレも思い出したぞ!!今でもこんな事言ってるのかお前っ!!!」

にらみ合うサトシと少年を見ながら、ヒカリはタケシに「どういう事?知り合いなの?」と小声で話しかけた。

「ああ…アイツは、オレ達がまだカントーを旅してた時に会ったトレーナーでな。
その時にあのトレーナーは、中々強くならないし進化しないって理由で自分の手持ちだったヒトカゲを捨てたんだ。ヒトカゲには「すぐに戻るから」っていってな」

「何それ…ひどい」

「で、たまたま雨の日に通りかかったオレ達がヒトカゲを保護したんだ。
雨なのにも関わらずヒトカゲは動かずじっと待っていたんだよ、あのトレーナーを…。
まぁ色々あって、結局ヒトカゲはサトシがGETしたんだが」

「そうだったの…まるでヒコザルの時みたい」

「ああ、シンジがヒコザルを捨てた時…サトシはきっとヒトカゲの面影を思い出したんじゃないかって…オレはそう思うんだ」

視線をサトシと少年に向け、タケシはそこで話を切った。


「ふんっ、相変わらずだなお前らも…で、ヒトカゲは元気なのか?」

「…ああ、今はリザードンだ。色んなトレーナーと戦って、ジム戦にも挑戦して…アイツはあの時よりもずっと強くなった!!!
トレーナーの育て方一つでどんなポケモンだって強くなるんだ!!」

「はっ、適当に経験値上げるだけ上げりゃ進化はするんだ。
本当に強いってのとは訳が違う!!
大事なのはスピード、パワー…全てだ!!どんな相性のポケモンにだって有利に戦える。
本当の強さってのは、そーいう事だ!!!」

「お前は間違ってる!!!本当に大切なのはトレーナーとポケモン、お互いが努力し合って信じあって同じ目標を目指す事なんだ!!本当の強さってのはその時に生まれる物なんだ!!!!」

「ー…めんどくさ、勝手に言ってろ」

サトシの言葉に多少凄みを感じたのか、それとも言葉通り本当に面倒くさくなってしまったのか、サトシ達を睨みつけた後少年はさっと背を向けてポケモンセンターへと去って行った。

「何よアイツ…偉そうに!!!!」

少年に向かってアッカンベーと舌を出すヒカリを見て苦笑したタケシは、今まで放置状態だった少年に声をかけた。

「君、大丈夫かい?」

「あ、はっはい!!大丈夫です。どうもありがとうございました」

「気にしなくていいよ、それより今はポケモンセンターに行かないとな?」

タケシは、戦闘不能で目に渦を描いているフシギソウを見ながら言った。

「ひどいヤツよね!!人が大事に育ててるポケモンをあんな風に言うなんて!!」

イライラが収まらないのか、ヒカリは同意を求めるように少年を見た。

「でも…実力は確かだと思いました。技の指示とか的確で素早くて…
流石アルベリック家のコンテストに招待された参加者だ」

「えっ、アイツも参加者なの!?っていう事はコーディネーター!?」

「あれ、ご存じなかったんですか?
カントーでは結構有名なんですけど…シンオウではまだ知られてないんですね」

「それなら丁度いいわ!!私とポケモン達をバカにした事、コンテストできっちりお返ししてやるんだから!!!」

「おおー」

「ヒカリが…燃えてるぜ!!」

女の子だからとバカにされたのがよっぽど悔しかったのか、ヒカリはバックに炎を背負って闘志を燃やしていた。
その気迫は、以前レストランナナツ星でハルカが見せた物に似ていた。

「じゃあ、僕は失礼します。助けてもらって本当にありがとうございました!!」

「ああ、気をつけてな!」

もう一度お礼を言ってお辞儀をした後、少年はサトシ達に背を向けて先程の少年同様にポケモンセンターへと去って行った。


「さて、と。少々時間をとったが…気を取り直して行くか、コンテスト会場」

「そうね!!!あんなヤツの事今は忘れてさっさと行きましょう!!!?」

「ああ!!!早く行こうぜ!!!」

ヒカリやサトシに急かされながら、タケシは地図を見比べては途中で町の人に道のりを聞き、ようやくコンテスト会場に辿り着いた。

「へーーっ!!!ここかー!!!」

「大きな建物…それに凄く綺麗ーーーっ!!!」

全体は淡いエメラルドグリーン色のドーム状の建物だった。
町の中には緑が多く、大きな建物だが存在に違和感は感じられない。
会場入口までの道のりには一直線に白いタイルが敷かれていた。

「最近建設されたばかりの会場だそうだ。よかったなヒカリ!」

「ええ!!!ますます楽しみになったわww」

「なぁタケシ、中には入れないのか?」

「うーん、どうだろうなぁ…あ!ここの立て札に書いてあるぞ。
開場時間は…朝の11時30分からだ。」

「今何時だ?」

「今は…10時30分だ」

「えーーっ!!!って事はあと一時間あるのか…」

「でも折角ここまで来たんだし、私は中も見てみたいんだけど…」

「んーじゃあ少し周りをブラブラしてみるか、近くに公園もあるし…


「君達、どうかしたのかい?」

「「「!!!!?」」」

三人が後ろを振り返ると、そこには見覚えのない青年が立っていた。

「……っ!!!!!!」

「…?私、コンテストに出るんです!!!それでコンテスト会場を見に来たんですけど…
まだ開場時間じゃなかったみたいで…」

いきなり黙り込んだサトシを不思議に思いながら、ヒカリが前に出て答えた。

「そうか、君は参加者だったね。なら仕方ない…そこをどいてくれるかい?」

「?あ、はい」

青年は、白いタイルの上を歩き、入り口まで辿り着くとポケットから鍵を何本か取り出して慣れた手つきで扉を開錠した。

「開けるには時間が早いけど…さ、中へどうぞ?ヒカリさん」

「…一体どういう事だ??あの人はここの関係者なのか?」

タケシが不思議そうにしていると、名指しされたヒカリはハッとした表情で青年を見た。

「わ、私ったら…どうして忘れてたんだろう。あの人…っ!!!!」

青年は、口元を両手で隠したヒカリを見ながら微笑んだ。

「ああ、自己紹介がまだだったね?
僕はアルベリック・ジラルダン。
このコンテストの主催者だ」






TO BE CONTINUED...


あとがき...
あー…遂に書いてしまった←
文才なくて本当に凹みます。

今回のお話で再開した二人の人物を皆さんはご存じでしょうか…
DP世代の方は分からない方がいるかも、と思いながら書きました。
詳しくはポケモン初期の「はぐれポケモン・ヒトカゲ」と映画「幻のポケモン・ルギア爆誕」を見ていただけると嬉しいです。

※ルギアに登場しているジラルダンには名字がなかったので勝手に名付けました。
ピカの妄想設定なのでご了承下さい(汗)

>追記+オマケ漫画?
ヒトカゲのお話をタケシが説明している内容で若干間違っている所がある事に気付きました←
雨の日にたまたま通りかかってません(爆)

ヒトカゲを捨てた少年がコーディネーターになったというのもピカの妄想です!!←これも書き忘れてました(汗)スミマセン。


☆オマケ☆



お詫びに最後らへんだけ漫画にして描いてみました!!←漫画とは呼べないだろ、オイ。


で、では!!!(逃)



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