ポケモンNovel

□告白は突然に
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告白は突然に



「よっ春花!!また宜しくなー!!」

「智!?あなた何で入学式来なかったのよ!?
もしかして風邪引いて…あー、それはないわね。智は健康だけが取り柄だもの!
あ、席は出席番号順だから智の席は窓側よ?」

「ああ、入学式は家の用事で仕方なく休んじゃってさー…
ってか今何気にひどい事言わなかったか?」

「そう?あ、茂くんおはよう!!下駄箱大変な事になってたみたいだけど大丈夫?」

春花は智の言葉を軽く受け流し、教室に入ってきた茂に声をかけた。

「ああ、おはよう。下駄箱の中の物はとりあえず回収したよ」

「ふふっ、お疲れ様」

「相変わらずモテるんですねー。茂くんはーイイデスネー」

眉をピクピクと揺らしながら嫌味っぽく智は茂が手に持った物を見ながら言った。

「それにしても今頃珍しいわよね?ラブレターなんてww」

「全くだよ。気持ちは嬉しいけど…おかげで要らない時間をとった」

「でも女の子にとってはとーっても勇気のいる事なのよねww
私も好きな人が出来たら書いてみたいなー、なんて♪」

「へー…秀くんに書かないのかい?」

「しゅ、しゅしゅしゅうーーー!?
な、ななな何であたしがあんなヤツに!!!」

「違うのかい?」

「そうよ!!もしどうしても出さないといけないんだったら私茂くんに出すもの!!」

「春花…オレには?」

「智はごめん、論外かも」

「即答っ!?…ちょっとは迷ってほしかったぜ」

春花に異性として好意を持っている訳ではなかったが、それでも若干期待していた分智はガックリと肩を落とした。
そんな智を横目に茂ははぁ、とため息を吐いた。

「え〜と、そんな事より、茂くんはソレ…どうするの?」

話題を変えたいのか、ぎこちない表情で春花は茂に話を振った。

「え?どうするって…取りあえず読むけど」

「り、律儀なのね〜。で、もしかして付き合ったりする…かも?」

「あぁ、読んで返事はするけど…。それはないな」

「何で…あ、もしかしてもう好きな子がいたりするの!?
それはちょっとビッグニュースかも!!!!」

「いや、特に気になる子はいないけどさ…」

「じゃあどんな子がタイプだったりするの??」

「タイプ…か。あー…、まぁしいて言えば…その…ーっ!!!?

そこまで言いかけた茂はようやく気付く。
いつの間にか自分達の周りに数人の女子生徒が集まってきている事にー…。

(これはまずい、な…)

優しくて料理が上手で可愛くて…
春花一人だけになら、一般男子にありがちな事を適当に並べて言って話を切り上げようと思っていたのだ。
それが今ではこの状況…下手したら実行する女子が多数アピールしてきたり、友人に情報を流したりと何かと面倒のなる。

(適当に答えるのは…やめたほうがいい)

どうせ聞かれてしまうのならいっその事とんでもない事を言ってしまえばいいのだ。
実はブサイク顔でぽっちゃりした大食いでお相撲さんのような子がタイプ…とか。
いや、やっぱりやめよう。もし万が一それを信じた子がいたとして実行したとしたら!?
ー…考えるだけで恐ろしかった。

(一体どうしたら…!!!)

目の前には興味津津とばかりにキラキラとした目で期待をして待っている春花がいる。
もう後には引けまい。
そこで一瞬思考を止めた茂は、今だに肩を落として下を向いたままの智に再び目を向けた。
どーせオレの事なんて誰も好きになってくれないんだ、などと小声でブツブツと言い始めている。
このまま放置すればいずれのの字を書き始めるだろう。

(いつだってお気楽能天気で頭がカラッポなのかっていうくらいポジティブなのに…何でこう言う話になるとネガティブになるのかなコイツは…)

「全く…無神経で分からず屋で猪突猛進で無駄に元気で騒がしくてポケモンオタクで…本当に世話のかかるヤツだ…でも何故か嫌いにはなれないんだよなぁ…」

「…ねぇ。茂くん、それって…誰の事?」

「へ!?」

周囲がやけにざわついている。
女子だけではなくいつの間にか男子までも集まっていた。


「「・・・・・・・・・・・」」


「もしかして、心の声だったりした?」

「…あー…僕、何か言ってた?」

「ええ、はっきりと」

「〜…っ何て?」

「えーっと…無神経で分からず屋で猪突猛進で「分かった、分かった。ありがとう、そこまででいいよ」」

「そう?…ふふっ、でも意外だったわ」

「…何が、だい??」

(凄く、もの凄く嫌な予感がするー…!!!)

茂は、今までにない寒気を感じながら頬をひきつらせた。
意味ありげに含み笑いをしながら近づいた春花は、茂の耳元に手を添えた。

「茂って…智の事、好きだったのね?」

「ち、ちちちちちっがーーーーう!!!断じて違う!!誤解だ春花っ!!!」

「私こう見えても口が堅いのよ!?大丈夫♪
そっかー、それで茂はラブレター断るのね〜、納得!」

「いやだから誤解だって!!」

「茂…」

「!!!!?」

ネガティブから復活したのか、目の前に立った智は哀れそうな目を茂に向けた。
そしてー…。

「お前、趣味悪いんだな?オレだったらそんな奴とは絶対付き合えないぜ」

「〜…全部お前の事だ、こんの大バカがぁああーーーッ!!!!」





ー…その後。
クラスの中心で幼馴染みへの愛を叫んでしまった茂に、ラブレターは一切届かなくなったのだった。





ーEND−
(誤解だーーっ!!!)





あとがき...
パラレル第2話みたいな感じで書きました。
智の引っ越し騒動を第1話と考えて読んで頂けたらと思います。
調子に乗ってもしかしたら第3話も書くかもしれません(笑)

相変わらずの駄文、すみませんデシタ(汗)





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