のべるす
□氷梅縁起
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ちちち………
小鳥の囀りは、五番隊からだった。
鳥が集まる縁側にちょこんと、雛森と、鶯色の髪を二つのお団子に結わえた雛森より少し大きいぐらいの少女がお菓子を囲んで仲良く座っています。
鳥達は鶯色の少女に集まっている様子だった。
「もう春なんだね」
雛森は横で、楽しそうに鳥と戯れる少女を見つめていた。
「飛梅、その子たちと話が出来るの?」
少女――雛森の斬魄刀が具象化した姿の飛梅は頭を横に振り、「でも楽しい」と答えて紅梅の瞳で雛森をじっと見る。
「…お話できたほうがいいのかな?」
「そんなことはないよ、ほら、お饅頭食べよう」
歳の見目は雛森と大差はないが、彼女の精神はだいぶん幼い。
差し出された饅頭を見るとうんと頷いた。
「みんなにもちょっとあげるね!」
飛梅は饅頭をいくつもに小さくちぎると、それを空高くに投げ放った。
小鳥達は、嬉しそうにかけらに飛び付いた。
飛梅は満足そうにその様子を眺めた。