SS2

□温泉でしちゃおう
3ページ/3ページ

「は、恥ずかしいから嫌やなんだよ・・・そういうの言われるの・・・。す、するのが嫌やだとかじゃなくって。」
何を言ってるんだと自嘲のため息が漏れる。
「そうか。」
鼻の先で、源泉の笑顔がすぐそばにある。
ごめん、とでも言うように、キスをする。
まだ荒い呼吸と、紅潮を鎮めるように、アキラは瞳を閉じる。
深く唇が重ねられ、舌が絡む。
途中、苦しそうにアキラは離すが、数度酸素を得るとまたすぐ貪られる。
その繰り返しの中、源泉の体がアキラの上にずしりと覆いかぶさる。
いつもは重いと思うのに、なぜかその重みが存在しているんだという証になっているようで、心地よく感じた。
如何様にもし難く、シーツの上へと無駄に投げ出されていた手の上に、源泉の手が重ねられる。
「っ・・。」
ぎゅっと握られただけなのに、じんと体が温まっていく。
「続き、するか。」
唇を離した刹那に囁かれる。
言葉なく、頭を小さく縦に揺らすのが精一杯だった。
「マッサージのな。」
まるで懲りてないような笑顔に、今度は怒りは起きなかった。
少しの羞恥と、苦笑と。
「ほんとに。どうしようもねえな、あんたは。」
こつんと額をぶつけ、空いている手で背中を抱きしめた。
下着だけずらされ、濡れ濡った勃ちあがりから、さらに奥へと指が動く。
濡らされる奥が、小さくツプツプと音をあげる。
「ん・・・・・・っ。」
折り曲げた太腿に、源泉の唇が伝う。
慣れないこの状態に、顔を手で手のひらで覆うものの、侵入する指が体の中から淫らな音を出す。
隠し切れない情交の昂ぶりでさらに息があがってくる。
「っは・・・・ぁっあっ・・・・」
入り口の側でなぞられていた指がツイっと奥まで入り込む。まだ慣れていない中が、熱く湿って絡みつく。
傷付けないように指が蠢く。その感触が腰に重く響き、出そうとも思っていない嬌声が引き出される。
「っふ・・・・・ん・・・・、ぁ・・はぁあ・・・・・っ」
同時に屹立した己の先端に舌が回りこみ、頭をなぞられると、膨大な甘さが押し寄せた。
最初は少し乾いていた音が、指を増やすたびに淫らな水音へと変わる。
音があがるたび、荒れた呼吸から高い声が引き出される。
「このまま、イク・・か?」
耐えられない感覚の中、囁かれる。
「・・・・・。」
体の暴走が止まらない。
けれどもと、アキラは顔を左右に振る。
「・・いっしょが、いい。」
掠れた声はとてつもなく甘く、源泉の熱に響きを与えた。
「う・・・ぁ・・・あ・・・っ」
足を広げられ、源泉を受け入れる。
ググっと入り口が体の中に鈍く響き、痛みであるはずの感覚が脳にしびれを促す。
顔をあげると、少し苦しそうな源泉の顔がある。
アキラの視線に気づき、眉を寄せながら微笑し、「辛いか?」と声をかけられ目尻にキスを受けた。
「だいじょうぶ・・・。」
その熱を受け入れるほどの容量がないアキラの体は悲鳴をあげているが、その感覚がなぜか愛しいと思う。
「ん・・・くっ」
体がぴたりとくっつく。奥まで入りきると、ゆっくりと身を引かれ、抜かれる感覚がゾクゾクと全神経を脈動させていき、そして引き抜かれるかというところから、再度奥まで、今度は強くねじ込まれる。
「ーーーーーっあ、はっ・・ぁっあっ」
そして、グラインドはその熱にうなされたように強いまま、アキラを揺さぶる。源泉を抱きしめる指がその衝撃を耐えるように強く、浴衣の布を握り締める。
抱き合う体に、アキラのかろうじて帯だけでつなぎとめられた浴衣が肌に絡まり、源泉の情欲を誘う。
「ー・・アキラっ」
たまらず鎖骨を強く噛み、吸い上げる。
そこから点々と散りばめられていく紅い痕に、さらに舌を這わせる。
足の付け根からギリギリのところまで折り曲げ、さらに深くつながりたいと動く。
「あっ・・あ・・っはぁ・・・あっ・・」
限界を告げている声が、これ以上ないほどに高く掠れていく。
どうにもできない律動と独占欲に耐え切れず、源泉はアキラの肩に顔を埋めて歯を食いしばった。
その猛りが、アキラを高みへと一気に押し上げていく。
「・・・・っは・・・・・・ぁぁ・・・・・!」
体内を暴れていた狂おしいほどの熱が白く一気に噴出す。
思考が溶け、体が重力から開放された、そんな錯覚すらも覚えるほどの絶頂。
「・・・ぅ・・く!!!」
息が止まるほどの締め付けから、数度の挿入で源泉も達する。
首のしたに腕を回され、もうそれが癖になってしまったのか、自然と体を源泉に預け、息を整えるうちに閉じた瞼は重くなっていった。
何度か、触れるだけのキスを、髪を撫でられた記憶はあるが、夢の中に落ちる。
そして一度も目が覚めることなく、まどろんだ脳が朝、のろのろと覚醒を促し、まだけだるい体を起こした。
「おう、起きたか。」
「・・・・だるい。」
すでに起きていた源泉は、朝刊を眺めていた視線をアキラに向けた。
「ひでえ寝癖なだ。せっかくだから風呂入ってこいよ。俺も朝風呂はいるっかな。」
ああ、と掠れた声で立ちあがり、もう半ば着ていない状態の浴衣を直そうとした。
「・・・!!!!行けるかよ!なんだよこれ!」
姿身に映った自分の上半身には、色濃くキスマークが散りばめられている。
「あーーーー。はは、それじゃあだめだな。部屋の風呂、使えよ。」
「嫌やだよ!なんでこんなところで部屋の風呂で我慢しなきゃいけないんだよ!」
しかしながら強情を張ってもさすがにこれでは行けない。
その脇で、源泉はそそくさと風呂の支度をしている。
「で、あんたはそれでも行くってのかよ。」
「お前さんの代わりに存分に・・・ほら、俺も年だし。入れるときに入っとこうって・・・なぁ?」
アキラを余計憤慨させないよう、言葉を選んで苦笑いする。
「あんたのせいだろうが、これ。」
ずいと源泉に立ちはだかる。
「いや、俺、じゃあ、悪いからシャワーだけにしておこうかな。」
こうなるアキラは怖いと源泉は恐縮した。
「バツ。」
「は?」
「バツとして、もう一回。連れて来いよ。」
ブスっと膨れて言う源泉に下された罰。
「もちろんだとも。」
源泉は笑顔で罰を受け入れると、尖らせるアキラの唇に、朝のキスをしたのだった。



FIN
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ