SS3

□頭の弱いアキラに萌えたのでケイアキ
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「アキラ、ファンタ買っておいたから、飲む?!」
久々に部活(ブラスター部)が休みだったアキラを捕まえ、ケイスケは誰もいないことを見計らった自分の家へと誘ったのだった。
「ああ、うん。」
アキラが、アキラが今自分の部屋で、座っている!
「ぃい、今、もって来るね!・・・ぁ痛て!」
にやけたケイスケの足がドアにぶつかり足の小指を強打する。
猛烈な痛みは一瞬やってくるが、今の幸せぶりに痛みはすぐになくなった。
「・・・落ち着けよ・・・・。」
アキラがため息交じりにケイスケに釘を刺すが、ケイスケはてへへと照れ笑いをしただけでさっと階下へと下っていった。
ケイスケの部屋で一人きりになると、騒がしかった部屋が一変して静かになる。
視線が泳ぐ。
落ち着かない。
しかしすぐに階段を駆け上る音がすぐそこまで聞こえてきた。
ドタドタ・・・つるっ、
「っ!?」
ドタドタドタドタドタ!
「ケイスケ!?」
明らかに落ちた音だ。
驚いて部屋を出ると、天井を見上げる格好でケイスケが倒れていた。
「・・・つうう、いってぇえええええ。」
「おい、大丈夫なのか・・・?」
すぐさま駆け寄りケイスケを抱えあげると、すまなそうな笑顔でケイスケがアキラを見た。
「ごめん・・・ジュースひっくり返した。」
横を見ると、ひっくり返って床を濡らすプラスチックのコップが二つ落ちている。
「すぐ入れなおす・・」
「馬鹿!お前、あんな所から落ちたんだぞ?怪我は?頭ぶつけたんだろ?大丈夫なのか!?」
ケイスケの胸倉を掴み、アキラが怒鳴ると、ケイスケはシュンと小さくなってしまった。
「ご、ごめん、怪我は・・大丈夫。頭も打ってないから。」
「本当にか?」
(うわ・・・・。)
心配そうに眉を寄せたアキラの顔がケイスケの目の前へと近づく。
こちらのほうが心臓に悪い。
「だ、だいじょうっいで!」
「っい!」
咄嗟に体を起こしてしまったせいで、ケイスケの頭がアキラの鼻頭にぶつかり、二人で痛みにあえぐ。
「ごごごごめん!アキラ、大丈夫?」
恨みがましい目でアキラは鼻を抑えながらケイスケをにらみつける。
しかし、すぐに顔は緊張を解いて柔らかい顔をして見せた。
「ほんと、昔からそそっかしいんだよ。」
「・・・・うん、本当に・・ごめん。」
「それよりも、立てるか?」
促されて、ケイスケは体を起こすが足で体を支えた途端、右足に違和感を覚えた。
「・・、右足捻ったかも。」
「ほら、何ともなくないだろ。・・・・・お前んとこの冷蔵庫借りるぞ。」
「え?」
「ケイスケ、そこで待ってろ。」
「あ、うん。」
すぐにアキラは氷を持ってケイスケの足へと当てた。
しかし、氷は裸のままで、すぐに床へ水滴が落ちる。しかも、氷自体も手から滑り落ちてどうにも上手くいかない。
「あ、アキラ?」
(・・・これ、普通は、タオルとかに巻くんだけど・・・でも、せっかくアキラが手当てしてくれてるし、い、言うべきかな・・・。)
非常に悩みどころである。
「なんでこんなに氷、落ちやすいんだろ。」
難しそうな顔をして、アキラが氷と格闘している。
「っつめた・・・。」
ずっと直で触れていたせいか、アキラは指先の冷たさに耐えられなくなり、口元に指を持っていった。
はぁっと息を吐いて暖める。
その仕草、前髪の影になっているアキラの焦った視線が、ケイスケの視界にまざまざと映し出される。
アキラが一生懸命に己を介護してくれているのに、不謹慎だとは思うが、心臓の高鳴りが止まらない。
「ケイスケ?」
冷たくなった指先をケイスケが掴んだ。
「アキラの手、こんなに冷たくなってる。・・ごめん。」
手に取ったアキラの指を握り締めて、ケイスケは自分の頬へと持っていくと、アキラの視線が揺らいだ。
「謝るなよ、怪我してるんだから、早く手当てしないと、ひどくなる、だろ。」
語尾が段々と後味が悪くなってきているのが、アキラ自身にも理解できて、とてもいたたまれない気分になる。
触れられていることに妙に意識してしまう。
終いには平気だったはずのケイスケの顔も見れなくなって俯いたまま、「離せよ、手。」としか言えなくなってしまっていた。
「どうかした?アキラ。」
気に障ったことでもしてしまったかと思い、慌ててケイスケはアキラを見る。
「・・・・・。」
ごくりと唾を飲み込む音が、リアルにケイスケに響いた。
アキラを覗いたケイスケの視線に、おずおずと赤くなったアキラの頬が垣間見え、そして、その視線に従うようにアキラの視線が泳ぐ。
「アキラ・・・。」
機嫌を伺うように声をかける。
呼ばれて、小さくしょげるようにアキラが反応する。
(だめだ、今、駄目と言われても、無理。)
アキラが可愛い。
ぎこちなく、顔を近づける。
これは、今までで何度か、たくさんではないけれども、何度か、してる。
呼吸が肌にかかるほど近い。
「今日、誰も帰ってこないんだ。」
何を言っているんだろうと慌てるが、アキラはそれを不審には思わなかった。
「知ってる・・・お前、さっき言ってただろ。」
「え?そうだっけ。」
(浮かれて俺何言ってんだよ!!!!!)
脳内でうわあああと喚き散らすが、もうこうなってしまっては後戻りだってできない。
キスだけじゃなく、もっと、ずっと、そういう仲になりたい。
「・・・さっき、そう言ってたから・・だから、ちゃんと、考えてる・・から。」
「・・・へ?」
(今、なんて言った?)
アキラが?
考えて・・・・・・・・?
「だから・・・・。」
ケイスケを見上げるアキラの唇がケイスケの視線を釘付けにする。
「アキラ、いいの?」
「・・・・。」
ほんの一瞬だけ答えを待って、そしてゆっくりと唇を触れ合わせる。
一瞬最初に触れたアキラの肌が震えていたように感じたが、唇を重ねるとその震えは止まり、アキラを支えるようにケイスケの腕がアキラの肩を支え、そして深くなるキスとともに、背中へと腕が回っていく。
「ん・・・は・・っ。」
息が続かないアキラの呼吸がケイスケの口元に当たるたび、もっとその息遣いを乱れさせたいと本能が動く。
白い学生用のYシャツに手が忍び込むと、ひくんとアキラの体がくねるように、僅かな抵抗を示す。
それに気づいて、ケイスケは唇を離すと、淫らな糸が二人の間を細く引いた。
知らずに呼吸が荒れている。
「いや?アキラ。」
手を差し入れたまま、アキラへと囁きかける。
「だい・・・じょうぶ。」
すでに蕩けだした瞳が逃げるようにケイスケから視線をはずす。
少し俯いた額へキスをする。
「怖い?」
言われて、はっとする。
「・・すこし、だけ。」
何を言ってしまっているのだろうと、アキラは自身の回答に赤面する。
(可愛い・・・すごく可愛い。)
アキラの葛藤を目の当たりにさせられ、今よく鼻血が吹き出さないでいる自分を、ケイスケは褒めたくなるほどだった。
「好きだよ、アキラ。」
小さく、ごめんと言いながら忍ばせた手を、さらに奥へと進ませる。
そして、頬から首筋へとキスを流すと、くすぐったいだけではない反応でアキラはのけぞる。
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