07/01の日記

21:14
EDEN REJECTION 26
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口付けを交わすたび、互いの血液が唾液に混ざり合う。
瞳を閉じてただ一心にシキの舌を追いかけるアキラに愉悦を覚える。
舌を掬い上げて吸ってやると、甘い悲鳴が小さく抜けていく。
すでに昂ったアキラの欲の塊が革越しで震えているのを感じる。
「ねえ・・・。」
甘くおねだりをするような声に、シキは耳を傾ける。
「いいんだよ、殺して。」
奇怪なことを言い出す。
「何を言い出すかと思えば。」
まるで誘っているかのように、アキラは死を囁きかけてきた。
「いらなくなったら捨てていい。」
愛しむ仕草で、シキの頬に、血だらけの指が這う。
「ほう?」
シキはアキラの申し出に笑みを浮かべた。
「でもね、もし、ずっと、傍においてくれたら・・・その時は俺が殺してあげるんだ、いいだろ?」
「貴様が俺を殺すか・・・楽しみだな。」
アキラの言葉にシキはつい笑い飛ばした。
「しかし何故そんなことを言う。」
細い体の線をなぞり、固く膨れた果実に歯をたてながら、絶え絶えになりつつあるアキラの言葉を聴く。
「・・・だって、・・・・世界の全てを壊しちゃったら、後壊すものはなくなっちゃう。ずっと、考えてた。・・・・っ、そしたら、シキはあと何を手に入れるの?」
「さあな。」
「だから、ね、寂しくならないように、殺してあげる。」
何とも言えない夢物語を聞かされたようで喉を鳴らしてシキは笑う。
「ぅん・・・っ!」
ねじ込まれる熱量にアキラが苦悶する。
この苦しさ、この狂おしさがたまらず脳を冒していく。
「そんなことが、アキラ、貴様に出来るとでも言うのか?」
「ゃあ・・・っ、ん、できる・・・、だって、・・」
掠れた小さな囁きがシキの耳を打つ。
「シキは、誰にも殺されないし・・・・殺させない。」
シキは、己の所有者であって、誰かの何かには絶対にさせない。
アキラの潤んだ瞳が強くシキに語る。
人を切り捨てる力も、怯ませるほどの気迫も持たない、力無き人間であるのに、淫らに狂った色と触れただけでも粉々に粉砕されてしまうほどの絶対零度が融合した目で、アキラはシキを見る。
「良い目だ。」
かつて、自分に向けられた殺意を思い出す。
今もなお翳りを見せない光。
貫く度、狂気の濃度を上げ、隷属という意味を孕んでシキを見る。
遠く儚い殺戮への憧れを向けて。
そして、醜悪なほどの嫉妬を外の世界へ放っては、繊細な睫毛が瞬きし、快楽を訴えてくる。
「その手足、本来なら切り捨ててやるものを。」
欲望を飲み込む肉体さえあれば、不要な物だ。
そうしていれば、逃げることも叶わなかったであろう。下らぬ遊びを覚えることも無かったであろう。
そして、もしも殺されることを否とするならば、何一つ動けなくさせておくべきなのだ。
それが、今この体に絡みつく。
「いらない?ぅん、いい、よ・・・。」
しかし、シキはそうするべきことを否定する。
「それでは面白くない。」
持ち上げている太腿に唇を落とす。
この足が、その指が、アキラに何を考えさせ、そしてこれからどう歩き、何に触れるのか・・・・、辿り着いた先の何かをも、この手中に収めるために。
屈服させ、今善がり狂う体も、その中に在る魂も、永遠に己の物であると理解できたなら・・・。
「殺されてやっても良い。」
激しく求め合う息の中で、呟く。
アキラに聞えたかどうかは定かではないが、頂の先に意識を放ち、熱る白い腕の中に全身を預けた。

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