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□戴き物
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珍しく任務がない休日─。
スクアーロはいつものように、ザンザスの部屋に入り浸っていた。
「なぁー、ぼ〜す〜」
ソファーの上で、子供のようにジタバタしているスクアーロ。
「キモイ声出してんじゃねぇよ、カスが…」
それをいつものように、無駄に豪華な机に向かいながら、蔑んだ目で見ているザンザス。
ザンザスは仮にもヴァリアーのボス。いくら任務がないと言っても、山のような書類を片付けなければならない。正直、スクアーロは邪魔である。
「なぁー、ボスー」
そんなザンザスの気持ちを知らずに、話し掛けるスクアーロ。俗に言う、空気が読めない人……。
「なんだ…」
ザンザスは、仕方なく話をしてやることにした。
「オレとボスの子供って、可愛いと思わないか?」
暫しの沈黙───。
「……………おまえは本当にドカスだな」
ザンザスはそう言うと、更に冷めた…蔑んだ目でスクアーロを見た。
「あ゛ぁ゛!?」
「男同士で生めるわけねぇだろ。ドカス」
「たっ……例えばの話だ!!」
「……例えば?」
「そうだ。例えば、ボス似だったら───」
〈スクアーロ妄想〉
「ぱぱ〜」
トタトタという効果音が聞こえてきそうな走り方で、スクアーロのもとへ駆け寄ってきたのは、ザンザス似の子供。
「お゛ぉ゛、なんだ?」
「ままが呼んでるよぉ〜」
顔はザンザスそっくりなのに、ザンザスと違い、可愛らしく笑う。
「そうか、そうか。ありがとな」
スクアーロは、ザンザス似の子供を抱き上げると、ザンザスのもとへ向かった。
「ぱぱ、だいすき!」
〈妄想終了〉
「ぐはっ……たまんねぇなあ゛」
妄想で、鼻血を出しているスクアーロ……。(変☆態)
しかし、そんなスクアーロの話を全く聞かずに、ザンザスは仕事を再開していた。
「お゛ぉ゛い!?聞いてたのか!?」
「あ─、聞いてた、聞いてた」
「本当か?」
「あぁ。お前が、その窓(3階)から飛び降りたら、生んでやってもいいぞ」
そう言って、ザンザスは、かつてない程の満面の笑みををうかべた。
スクアーロは、思わず赤面すると急に立ち上がった。
「約束守れよぉ゛───」
スクアーロは、叫びながら窓から飛び降りた。
「あ〜、センパイが倒れてる。どうする?」
「救急車、呼んであげてもいいよ?もちろん、お金はとるよ」
「キャァァァァァァ!?スクアーロが死んでる!?救急車ー!」
「……………………(いい気味と思っている)」
遠くから聞こえてくる、ヴァリアーメンバーの声───。
「はぁ──。あと半分……」
そんなことを余所に、ザンザスは仕事を続けていた。
end………