+文+

□ポッキーゲーム
1ページ/3ページ


ポッキーゲーム

「くわえろ」
「……………えぇ!?う゛お゛おぉぉぃぃぃ!?」
「これ」
「は?」

そう言ってXANXUSが差し出してきたのは日本製の赤い箱に入っていたポッキーだった。
確か家光が土産としてXANXUSに置いてったモンだと思う。

日本人は取り入るのがうめぇな、もとからの性格かもしんねぇが。
つーかオレにもなんかモノ置いてけよ、あの門外顧問。
まぁ貰っても感謝するどころか、訝しむか引いただろうが。

明日(といってもあと10分くらいなのだが)はオレの誕生日で、今はXANXUSの部屋で飲んでいた。

オレも誕生日のことは言わなかったし、XANXUSも特に触れてこなかったが(そもそも覚えているかどうか)オレは無事部屋に入れてもらえた。

オレとしては内心、誕生日を向かえる瞬間、愛しの我がボスと繋がってられたらいいなというささやかな願望があったのだが、二人で黙々と酒を煽っているだけでまったくそういうムードにならない。

まぁ、XANXUSが凍っていて、自分の誕生日どころか、こいつの誕生日も一人で過ごすしかなかった過去を思えば、今の状況のなんと幸せなことか。
と、一人自己満足ムードに浸っていた矢先に投げかけられたのが「くわえろ」だ。

突然エロい展開が始まるのかとビックリ半分、期待半分に大声を上げてしまったが、そんなオレにまったくおかまいなく目の前にあるのは8:2の割合でチョコのかかった細長いスナック菓子。

くわえんの?それって食べちゃダメってこと?
オレは素直に疑問を口にすることにした。

「くわえるだけで、食っちゃダメってことかぁ?」
「くわえろ」

あ、酔ってんなコイツ。
スクアーロとXANXUSの間にある机にはつまみと、空の酒ビンが軽く10本くらい転がっている。

「お前酔ってんだろぉ。しかもなんだこの量!!程々にしとけっていつもあれだけ言ってんだろ!!」
「うるせぇよ」

ポッキーを口に突っ込まれた。
それも何の手加減もなしに。
信じられないくらいの速さと力を持って喉の奥に当たる。
ポッキーはその名を体現することなくボキッと折れ、オレは反射的にむせた。
胃の中のモノを戻しそうになり、目に涙がたまってくる。

「ゲッホッ!…う゛おぉい!いきなり何しやがる!!」
「折ってんじゃねぇよ、ドカスが」

折ったの明らかお前じゃねぇか!!とスクアーロは抗議しようとしたが止めた。

XANXUSがスクアーロが吐き出した折れて二本になったポッキーには目もくれず、次のポッキーを取り出したからだ。

ここでまた煩くすれば、大口めがけて二本目が突入してくることは分かりきっている。
スクアーロは大人しく、XANXUSが持っているポッキーを折らないように軽くくわえた。
チョコがコーティングされていないほうをくわえさせられたので、ぶっちゃけ味がしない。
XANXUSが手を離す。

「ぶぉい、ほんへどーすんふぁ?」

ポッキーをくわえながらXANXUSを見やると、酔っているせいか頬が紅潮して瞳がとろーんとしている。

あーヤバイなー可愛いな畜生!このままポッキープレイとか出来ないかなーなどと危ない考えに走りそうになっていたら、XANXUSがその顔を近づけてきた。
そのままくわえる、が。

「う゛お゛おい!?」
スクアーロが大声を上げ、口を離してしまった。
「うるへぇ…」
目に見えて機嫌の悪くなるXANXUS。
「あ、ワリ、え、いや、つか何してんだお前!?てーか何がしたいんだ!?」
「はにって」

そこでXANXUSは一旦くわえていたポッキーを口から取り出したが、くわえていた部分のチョコが溶けているのを見ると、ポリポリと食べてしまった。

ハムスタみて…いや、リスかぁ?
XANXUSはやり直しを決行するつもりらしく、三本目を取り出してくわえた。
そしてそのまま見つめてくる。
スクアーロは心の中でぐはっと叫んだ。

「はやふしろ」

またくわえろってかやっぱりチョコがコーティングされてないほうを!ってーかその状態でしゃべんな可愛すぎるー!!唇エロオ゛ォォォイ!!

スクアーロは頬を朱に染めながらかぶりついた。
少々勢いがあったものの、ポッキーは折れなかった。
XANXUSが舌打ちする。

「チッ、カフが、まぁひひ。ほのままほらはいように食へ」
もはやスクアーロとしては従うしかない。

ぽり ぽり ぽり ぽり

やがて二人の唇が触れチュッと音を立てて、スクアーロはそのままキスを深めていった。

XANXUSとしては口の中に食べカスが残っていたので嫌だったが、スクアーロは特に気にしていないようだ。

「んっ…は…」
「っは。…でXANXUS、お前オレとちゅーしたかったのかぁ?」
「…なわけねぇだろ、ドカスが。時計見てみろ」
「あ゛?」

スクアーロが時計を見ると針は0時をほんの少し回っていた。
お、オレの誕生日だ。
ん?てことは…

「あぁ、お前オレの誕生日の瞬間、一つになってたかったとか、かぁ?」
ドガスッ
「ぐあ゛っ」
「お前じゃあるまいし、んなこと思うか…!」
「じゃあなんだってんだよ!」
「家光がっ…!」
「いえみつぅ?」
「家光が言ってたんだよ、誕生日を向かえた時に、ポッキーを折らずにキスが成功すれば……」
「…成功すれば?」

(→後半)

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ