MAR

□そんな顔して
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無意識に開けた目の前には広がる自然やそびえ立つ城より遥かに小さくて低い天井。


今でもはっきり覚えてる。俺の憧れだった場所。夢見てた世界。
確かにあそこは―――
「・・・メルヘヴン・・・!?」
俺はすぐに立ち上がって小雪に電話をした。

Pulululu・・・

Pulululu・・・

Pululul ガチャ―――『もしもし?』
「小雪か!?俺だけど実はさ!今メルヘヴ『ちょ、ちょっと待って!!』
慌てるギンタにストップをかける小雪。
『ギンタ、落ち着いて!ちゃんと聞くから、ねっ?もっとゆっくり話して?』
「あ、ご、ゴメン。急に電話して悪いとは思ったんだけど小雪しか話せそうな奴いなくて・・・。」
『私は平気だよ!それで、さっき言いかけたのって・・・もしかしてメルヘヴンのこと?』
「あぁ。俺、メルヘヴンの夢を見たんだ。」
『メルヘヴンの夢!?でもそれってギンタがこっちに帰ってきてからは見てないんだよね?』
「そうなんだけど・・・前に見てた夢と同じだったんだ。また何かあったのかもしれない。」
『・・・ギンタ・・・また行っちゃうの?』
電話越しの小雪の顔が想像出来た。
「・・・俺は東京と同じくらいメルヘヴンが好きだから。でもどうやってメルヘヴンに行けばいいのかもわかんねーし・・・。」
『そうだね・・・。』
一、二と間を置いて、小雪が提案を持ち掛けた。
『ねぇギンタ、学校に行ってみたらどうかな?あのときも教室から行けたんだし。』
「学校・・・うん、行ってみるよ!サンキューな小雪!」
『えへへ。ギンタ、その・・・私も行っていいかな?』
「え!?ほ、本気か!?」
『いいでしょっ?危険なのはわかってるけど、私もメルヘヴンに行ってみたいし・・・お願い!』
「うーん・・・まぁ危険かはまだわかんないし、スノウや皆にも会わせたいし・・・危なそうだったらすぐに帰すからな?」
『じゃあいいの!?やったぁ!!』
「今から学校行っても大丈夫か?」
『うん!それじゃ近くの公園で待ってて。すぐに行くね!』
「わかった。じゃあまた後でな。」
電話を切って、すぐに家を出ようとした。
ただ、直接“またメルヘヴンに行ってくる”とは言いにくくて、そのへんにあった小さなメモで置き手紙を残した。



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