うえき2

□厄介者と厄介事
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ピピピピピピ・・・


「・・・」
外は既に明るい朝。
頭の隅で聞こえ始めた機械音が徐々に明瞭になっていく。
しつこくて耳障りなソレを止めようと億劫ながらに手を伸ばすが、視界が閉じられているせいか目当てには辿りつけない。
次第に苛立ちが膨らみ、とうとう重い瞼を開けやむを得なく身体を起こした。
「うっせぇ・・!」
鳴り続く目覚まし時計に拳で荒々しくスイッチを押す。
言っておくが今日は休日だ。
無駄にうるさいアラームは学校登校の平日のためにセットされているのだが、曜日など細かい設定はしていないので休日も関係なく鳴る。
手間なことでもないがわざわざ設定するのも面倒に思えてそのままにしている。
音が止みようやく静かになったがだるい身体を起こしたためもう一度寝ようという気にもなれなかった。
アレッシオは布団を剥ぎ、覚醒しきっていない頭で洗面所へ向かう。
窓から覗く陽光がうざったいほど眩しい。
いつもなら休日は昼間まで寝過ごして、起きたらリビングへ行き適当に冷蔵庫を漁って昼食にありつくのだけれど。
「(あー、そういやぁ・・・そうだ、朝は・・)」
最近になって、窓の朝日を拝んでばかりだ。
何故かと聞かれれば家の中に不法侵入者が来るようになったから。
今日もまたリビングには“アイツ”がいるはずだ。
「おう。おはよ」
「・・・・・・れ」
エプロンをつけ、キッチンに立つ緑頭の男。
盛り付けした皿を片手に何事もないような顔でアレッシオを振り返る。
「飯出来てるぞ。座らないのか?」
「帰れぇええええーーー!!」
かつて敵対していた、植木耕助。
頻回に訪れるようになり現在も何故か人様の家で食事を作っている。
家族は仕事で不在なので休日は一人きりを堪能していたにも関わらず、一人が二人になって騒がしくなってしまった。
十団解散の事件後、植木は能力を失ったアレッシオの怪我を手当てし、鈴子の協力も得て家まで運んだらしい。
その際にアレッシオの家族と面識があったようで、才を巡るバトルが終わって時間も経ったある日、突然家にやって来た植木を家族は迷いもなく招き入れた。
他校の友人、息子を助けた恩人という認識が警戒を解いている。
すっかり馴染んだ植木には信頼があるのか家族の留守中も出入りどころか食事の世話なども了承済みで、母親も「アレッシオをよろしく」と手間が省けると言わんばかりに任せているのだった。


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