□それは。
1ページ/2ページ


「さーんぞっ。飯出来たから早く来いって!」
ベッドでゆらりと起き上がる三蔵。
「・・・珍しく早ぇなお前。」
「俺だってちゃんと起きれるっての!三蔵こそ今日は遅いじゃん。なんかあった?」
「別になんもねえよ。」


昨夜は確かに何もなかった。
ただ、本当になんとなく、別室で眠っているだろう悟空が気になってしょうがなかった。直感というヤツだ。

ほっといてさっさと寝ようとはしたが眠れない。部屋に押しかけてやろうかとも思ったが行ってもアイツは寝てるだろうし、らしくない。

結局、月を見ながら煙草を吸って朝を迎えた。日が差し込む頃になって暖かさを感じたのか唐突に眠気が襲った。
最近はずっとこの繰り返しが多い。



「先行ってろ。俺は着替えてから行く。」
「わかった!」
悟空はバタバタと一階へ下りていった。
「・・・・・・。」
悟空がいなくなると三蔵はベッドに腰を下ろした。

カチッ シュボッ・・・

ライターを取りだし愛用の煙草に火をつける。
「フー・・・・・・。」
「さんぞ・・・?」
吐くとほぼ同時に悟空の声が聞こえた。ドアの方を見ると思った通りその少年はいた。
「なんだサル。今行くっつってんだろが。テメェはとっとと・・・」
悟空の手が三蔵の袖をぐっと掴む。
「うん・・・でもなんか三蔵変だし・・・。俺最近、あの山にいた頃の夢ばっか見てて・・・。三蔵も、悟浄も、八戒も、ジープもいなくて・・・。」
「・・・夢見が悪ぃ時なんざ誰にでもある。」
三蔵は悟空の頭をぐしゃりとほんの少し乱暴気味に撫でた。
「此処には空腹も食いモンもある。お前はもうあそこから足出してんだろ。」
「・・・うん。」
悟空の表情は穏やかに変わった。
すると、いきなりグラァとベッドに倒れた。
「俺昨日・・・寝て、なく、て・・・・・・zzzー・・・。」
(ありえねぇ・・・。)
「ったく・・・こっちも寝てねぇっつうのに・・・。」
こんな朝でも、まあ・・・いいか。
それはそれは寝ぼけた休日のような、とある一日。




fin.  
八浄side→
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ