小説

□雪の夜
1ページ/10ページ

窓の外でしんしんと雪が降り積もる、静かな冬の夜。

何だ、この状況。
なぜだか同じ布団の中に、ボクに寄り添うようにして極丸が眠っているのだ。
ボクは布団の中で直立不動、丸太のように固まってしまった。
たしかに数時間前まで、いつものように隣りに敷かれた布団に並んで寝た…はずだ。
その極丸が何故か今こうして、ボクと一緒の布団の中で静かに寝息を立てている。
………。
たしかに眠っているのを用心深く確認してから、ボクはおそるおそる極丸の顔を覗き込んだ。

…いつもの見慣れた顔。いつも何故だか吸い込まれそうになる、見慣れた顔がそこにあった。

よく見なければわからないが、極丸の顔には無数の傷がある。おそらく体にも。
子供の頃から厳しい修行を積んでいるのはボクも同じだが、ボクは自慢の美しい肉体を傷つけられるのが怖い。
無意識のうちに、顔をかばってしまうのだ。
攻撃の間合いにも無駄が多いと先生に注意された。実戦なら死んでいたぞ、と何度も言われてきた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ