小説

□山桜
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「何やってんだよ!」

庭掃除を抜け出して土間の裏で一服していたオレは、突然背後から頭を殴られた。
「だめだっていってるだろ、バカ」
そこには"プンスカ"としか形容しようのない怒りの表情で危脳丸が立っていた。

こいつ、こんな時だけうまいこと気配消して近づいてきよる。
そんな特技があるのやったら実戦で活かしたらええのに。やからお前はまだ雑魚ひとりまともに殺れん甘ちゃんやねん。
「何や。痛いのう」
「こんなものこうしてやる」
危脳丸はオレの手からひったくったそれを地面に投げ捨てると、足の裏でぐりぐりと踏みつけた。お前は姑か。
「あーあ」
今日のんは、せっかく闇ルートで仕入れた珍品やったのに。しかもまだ半分しか吸ってへん…。まぁいくら取り上げても、また裏街の南蛮人から仕入れて吸うけどな。
「こんなもの体壊すだけだってわかってるだろ?まったく、早く庭掃除に戻りたまえ」
「…」
偉そうに指図できる立場か。危脳丸は何か勘違いしとる。忍者は、強さがすべてや。こうやって他人のことなんか構っとるからいつまで経ってもオレを越せんのや。
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