2

□ある穏やかな昼下がりのこと。
1ページ/3ページ


アジトのサロンで山本は報告書を読んでいた。ほぼ守護者が占有しているサロンには、いつも誰かしら守護者がいるのだが、今日は山本しかいなかった。
そこへ扉が開いて黒スーツの成人に達していない青年が入ってきた。元・最強の赤ん坊の一人、リボーンである。
「何だ。山本だけか」
「久しぶりだな、小僧」
リボーンはサロンに入ると、肘掛け椅子に座った。
「今帰ってきたのか?」
「そうだ」
「大変だな」
「ツナから休暇ふんだくって来た」
リボーンの言葉に、そうかと答えながら山本は心の中でツナに同情した。休暇の申請を銃で脅されて許可するツナの様子が容易に想像できたからだ。
「皆、元気か?」
「ああ。今、骸と雲雀が出張でいねーけど後は元気だぜ」
「凛音と悠弥はダメ親みたいになってねーだろうな」
リボーンは自分のかつてのダメダメだった教え子の子供たちの名を口にした。
「今から教育しなおすのはめんどいぞ」
「その心配はねーよ」
山本は笑いながら否定した。
「凛音はたまにツナっぽい所見るけど、翠達がついてるから大丈夫だ」
「そーか」
11代目は10代目以上に良いファミリーを得たな。とリボーンは心の中で呟いた。
「小僧、前から不思議だったんだけどさ」
「何だ?」
「どうしてアルファを無視するんだ?」
「言っただろ。俺は格下なんて相手にしねぇ」
「そうだけどさ。アルファは小僧の子供だぜ?格下の人間じゃないだろ」
元々リボーンは表情を変化させない人間だが、山本には今の言葉でかすかな変化を見せたように思えた。
「自分の血を分けた子供は可愛いもんだぜ」
「そうか?俺に似た所なんて見た事ねーぞ」
アルファはどこからどう見てもランボ似なので、リボーンに似ている所を探す方が難しい。同じく母親似の翠は、山本と似ている所はその気になればすぐに見つかるのだが、アルファの場合、そうはいかないようだ。
「そう言わないで探してみろよ。意外な所が似てるかもしれねーぞ」
山本がそう言って笑うと、隼人がサロンに入ってきた。
「武、報告書返せ……お久しぶりです、リボーンさん!」
「相変わらずだな、獄寺」
リボーンを見つけて昔と変わらぬようにはしゃぐ隼人と同じく昔のように適当にあしらうリボーンに、山本はもう獄寺じゃねーんだけどなと呟いた。

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ