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□Mi scusi.
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スクアーロは扉が軽くノックされ音に気付き、目を覚ました。
ベルフェゴールの寝顔を見ているうちに、いつの間にか寝てしまったのか思いながらノック音に応えた。そして未だに眠りを要求する目を軽く擦った。
小さく扉が開いてシャルがひょっこり顔を出した。赤く腫らした目は、心配そうな色を浮かべている。
「スクアーロ、ベルは……」
スクアーロは静かにするようにシャルに合図を送った。
「寝てるんだ。起こすなよ」
小声で言われた言葉に、シャルは一度頷くと音を立てないようにそっと部屋に入ってきた。手にはティーセットの乗ったお盆を持っている。
「なんだ、それ?」
「ベルに。怒らせちゃったから、ごめんなさいを言おうと思ったの」
シャルはそう言うと、手近なテーブルにお盆を置いた。お茶請けのクッキーは焼き立てなのか、いい匂いが部屋に漂いだした。
「シャル。今後、ベルの目については…」
触れないでやってくれとスクアーロが言おうとする前に、シャルはわかったと大きく頷いた。
「ザンザス様にも言われた。人の嫌がっていることはしちゃいけないって」
「あぁ……そうか」
スクアーロは納得して頷いた。シャルの赤く腫らした目は、ザンザスに叱られて泣いた跡なのだろう。
「だからね、ベルの目について言うのはこれで最後にするの」
シャルの言葉にスクアーロが眉間に皺を寄せると、シャルは内緒だよと言わんばかりに唇に人差し指を当てる。
「ベルの目は、シルヴィアの目と同じくらいキレイだよ」
この言葉に、スクアーロは目を大きく見開いた。今、シャルはベルフェゴールと同じくらい自分の目を見られるのが嫌いなシルヴィアの目を見た、というような発言をしたのである。
スクアーロがその事について聞こうとする前に、シャルは静かに部屋を出て行ってしまった。

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