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□10年後にいってらっしゃい
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(アンティーク)
ある日のこと、アジトのサロンで悠弥と翠が話をしていると、アルファが入ってきた。
「おはよう、アルファ」
昼寝から目ざめたアルファに悠弥が声をかけると、アルファはおはようと返した。だが、まだ眠たそうにアルファは目を擦る。
ふとアルファが頭を下げると、黒髪の合間から10年バズーカが姿を現した。
「あ、ちょっと待てアルファ!」
翠がバズーカの先に悠弥が居ると気付いて声を上げると同時に、10年バズーカの引き金が引かれていた。
激しい爆音が轟くと、その音に驚いてアルファは一目散に逃げ出した。大きな音が苦手な翠は、耳を塞ぎながらアルファを追いかけた。
「こら、アルファ!」
翠はアルファを追いかけ廊下まで行ったが、姿を見失い仕方なくサロンに戻った。
「悠弥、大丈夫だっ…」
翠は忘れかけていた悠弥に声をかけると、途端に硬直した。
「ゆ……悠弥?」

(唯斗)
衝撃に思わず瞳を閉じた悠弥は恐る恐る瞳を開いた。
目の前に広がったのは見覚えのない清潔感溢れる広い部屋。
翠とサロンにいた筈なのに…?
そう思って首を傾げる悠弥の耳に軽いピアノの音が聞こえてきた。
その音を頼りに部屋の奥に進んだ悠弥は、ピアノの前に銀髪の青年が座っているのを見つけた。
鍵盤の上を滑る白くて細長い指。
憂いを帯びた横顔。
思わず見惚れていた悠弥はピアノの演奏が途切れたことに気づかなかった。
「…悠弥?」
名前を呼ばれ、我に返ってみれば銀髪の青年が訝し気に悠弥を見ていた。
その表情を見た途端、悠弥の中にある面影が過ぎった。
「…翠…なの?」

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