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□イタズラ?オシオキ?
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風紀委員の朝の仕事と言えば、校門での手荷物検査に服装検査、だけではない。
遅刻して来た生徒の確認も風紀委員の大切な仕事だった。
今朝の校門では、遅刻者の取締りが行われていた。

寝坊した翠は学校に向かって必死に走って――いるはずがなかった。
授業中の居眠りにサボりの常習犯で、遅刻もしょっちゅうする翠は歩くつもりなどなく、のんびりと歩いている。
「あー、学校めんどくせぇ」
文句を言いながら歩いているうちに、翠の視界に校門が見えてきた。
校門には姿勢正しく直立不動で立っている女子生徒の姿があった。
その後ろには、風紀委員の証である旧制服を着た男子生徒が数名立っている。
「げっ……」
それだけで風紀委員が遅刻者の取り締まりをしているとわかると、翠は顔を歪めた。
すると翠と同じように遅刻しながらも、走ってきた男子生徒が風紀副委員長に捕まっているのを見た。
翠はそれを見ただけで家に帰ろうと方向を変えた。
だがその時、珍しく声が荒々しく上がった。
「確保なさいっ!」
「はっ?」
御堂の言葉と共に、翠はなぜだか風紀委員に取り押さえられていた。
「待っていましたわ。通算41回目の遅刻者、山本翠君?」
翠が後で語るに、その時の御堂の笑顔はそれは恐ろしいものだったそうだ。

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