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□tiara
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「ねぇ、ベルフェゴール」
サロンで寛いでいたベルの膝の上にシャルが乗ってきた。
「どうしたの、シャル?」
ベルはシャルが落ちないように抱きとめながら、シャルを膝に乗せる。
「ベルフェゴールは王子サマなんだよね?」
「うん。そうだよ」
「じゃあシルヴィアも王子様?」
「まぁ、そうだろうね。王子の子だし」
「じゃあシルヴィアもこれ持ってるの?」
シャルの指がベルの頭にあるティアラの金属部分を軽くつついた。
目の見えないベルには、金属特有の音が耳に響いた。
「あぁ、ティアラか……持ってるはずだよ」
「本当?」
シャルの嬉しそうな声にベルは肯定の返事をした。
「シルヴィアに言えば、見せてくれるんじゃない?」
息子がティアラをしているなど聞いた事のないベルだが、作ったことに間違いはない。
シャルからの返事を待っていたベルは、中々返事がない事を不審に思った。
「……シャル?」
膝の上の重みや気配からシャルが去ったわけではないのがわかるが、シャルから返事が無いのは初めてだった。
「ねぇ、ベルフェゴール。スクアーロとシルヴィアがおんなじ顔でこっち見てるよ」
「同じ顔…?」
目が見えないベルにその意味がわからなかった。
「2人はどんな顔してるの?」
「どっちもムッとしたような顔。別々の、離れた所に居るのに同じような顔をしてるんだよ」
シャルの明るい笑い声に、ベルも小さく笑みを浮かべた。
「シルヴィアが近くに居るなら丁度いい。ティアラ見せてもらいなよ」
ベルがシャルを抱きとめていた腕を退けると、シャルはうんと頷きベルの膝から下りた。
シャルとシルヴィアの気配が談話室から去っていくと、ベルはスクアーロを呼んだ。
「よくわかったな」
「シャルが教えてくれたんだよ。スクアーロとシルヴィアが同じ顔をしてるって」
「むぐっ……」
スクアーロが顔を歪めたのを感じ取ると、ベルは笑いながら座ればと言った。
スクアーロが隣に座ると、ベルは間を入れずに口を開いた。
「スク、10歳の子供に嫉妬なんてダッセー」
「はぁ?嫉妬なんかしてねーぞ」
「本当?」
ベルが一押しすると、スクアーロの声が詰ったような音が聞こえた。

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