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□セーラー服
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「本当にどんな手を使ってもいいんですか?」
『あぁ。まぁ…あまり過激な事はするなよ』
「もちろんです。約束、忘れないでくださいね」
『おう。悠弥もな』
武と悠弥はニッコリと笑って電話を切った。

「ただいま〜」
翠は学校から帰ると、真っ直ぐ台所に向かい氷に入ったお茶を用意した。夏休み前の暑さに、喉がずっと渇いていたのだ。
「おかえり、翠」
台所にひょっこりと武が姿を見せた。その顔は、ニヤニヤという音がつきそうなくらいの笑顔だった。
「なんだよ、ニヤニヤして。気持ち悪りぃ」
「翠、お願いあんだけどさー」
「……何だよ」
セクハラする父親とはいえ、お願いと言われたので、翠は一応聞いてやることにした。
「これ着て欲しいんだ」
そう言って武が取り出してきたのは、水色のリボンがついたセーラー服である。セーラーカラーと同色の紺色のスカートは、下着が見えるのではと疑いたくなるようなくらいミニであった。
「はぁ!?つか、どこでそんなモン…」
入手してきたんだよと言う前に、武があっさりと答えた。
「昔、隼人にも着せたんだぜ」
「無理やり着せたの間違いじゃねーの?」
「ん〜ちょっと違うのな」
「じゃあ、どう……って、それどころじゃねー!俺は着ないからな」
ビシッと武を指しながら、翠は宣言した。
「着ないならば着せるまで!」
武はそう言うと翠に近付こうとしたが、翠は上手く交わして台所から逃げ出した。
「待て、翠!」
「イ・ヤ・だっ!!」
翠は走って玄関まで向かい、靴を履いて家を飛び出した。
走り去った方向を確認すると、武はケータイを取り出し、電話をかけた。
「もしもし?あぁ。今そっち向かったぜ。頼んだぜ」
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