2

□チャイナ服
1ページ/4ページ


始まりは凛音のこの一言。
「千冬、じゃんけんしましょう」
「え?」
お風呂から上がったばかりで、まだ髪をタオルで拭いていた千冬は驚きの声を返す。
「じゃんけん……ですか?」
「そうです。負けた方は勝った方の言う事を1つ聞くんですよ」
「はぁ……」
何がしたいんだろうと思いながら、千冬は手を止めて了承した。
「いきますよ。じゃんけん、ぽん!」

「……ということで、チャイナ服貸して、悠弥」
「なんか重要な所が飛んでるんだけど……要するに君が負けたから凛音にチャイナ服を着るよう言われたんだね」
風紀委員会がすっかり占領している応接室で、悠弥はため息をつきながら了承した。
「わかった。確かうちのクローゼットにチャイナ服があったから届けてあげるよ」
「悠弥ん家のクローゼットって本当になんでもあるよな」
千冬の付き添いということで、ちゃっかりソファーに陣取っている翠は図書室から借りてきた本を捲った。
「父さんが贈ったコスプレ服なんだから、さっさと捨てればいいのに捨てないんだよね。何かあるのかな」
と言いながら、悠弥は書類を整理する。
「ちなみに翠、今度はナース服着ない?」
「だ・れ・が着るかっ!このバカっ!」
翠はそう言いながら、にやにやと笑う恋人にクッションを投げた。
「そういえば、ウチのチャイナ服は何パターンか種類があるんだけど、適当でいい?千冬に似合いそうなやつ持ってくけど」
「任せるよ」
どうする事もできない千冬はそう答えることしかできなかった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ