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□夏休み明けの災難
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「おはよう」
「久しぶり」
夏休み明けの初日。並盛中学に向かう生徒たちの中でとりわけ目立つ2人の男子生徒がいた。
1人は生徒指導の常連に名を連ねる山本翠。銀色の髪と同じシルバーアクセサリーをカラーシャツからのぞかせ、カッターシャツはボタンすら留めていない。
その隣で複雑そうな顔をしながらも話をしているのは雲雀・リジェ・悠弥。風紀委員の証である学ランは着ていないが、金色の髪が朝日にキラキラと輝いていた。
「目立ってますね」
「そうですね」
2人からやや距離を保ちながら後ろで凛音と千冬が苦笑を浮かべた。
「数時間前にイタリアから帰ってきたばかりとはいえ…悠弥の金髪と並中の制服は違和感がありますね」
凛音の言葉に千冬はそうですねと同意した。
幼い頃からの仲なので金髪の悠弥は見慣れているのだが、金髪で並中の制服を着ている悠弥はあまり見ないため、なんだか妙な違和感があるのだ。
「あ…」
「どうしました?」
悠弥と翠が足を止めたので、凛音と千冬も足を止めた。
「今日、抜き打ち検査なんかあったけ?」
悠弥がそう言って首を傾げた理由は校門に並ぶ風紀委員と副委員長の姿である。
「悠弥、何も聞いてないのかよ」
「うん、まったく」
悠弥は頷くと御堂の所に向かった。
「おはようございます、御堂先輩」
「あ、委員長。おはようございます。申し訳ありませんが緊急事態です」
「緊急事態?」
緊急事態と聞いて悠弥の顔色が変わった。
「一体何があったんですか?」
「実は……」
「御堂、そこの金髪と銀髪を引き止めておけ」
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