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□銀の髪
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小さな白い手が銀色の長い髪を引っ張った。
「う"お"ぉいっ!!いてぇぞ、ジルヴィア!」
「ししっ」
片手に抱いた息子に髪を引っ張られ痛みに耐えるスクアーロに対し、まだ幼いシルヴィアは楽しそうに母親と同じ笑い声を上げた。
髪を引っ張られるのは昔からやられている事なので、今に始まった事ではない。しかし、これでは仕事に支障が出るので、スクアーロは銀髪を1つにまとめて結った。
スクアーロの足元では、腕から下ろされたシルヴィアが足にまとわり付きながら、さーめ、さーめと歌うようにスクアーロのあだ名を口にしていた。
「まったく、母親に何を教えられたんだ?」
スクアーロが再び抱上げると、シルヴィアはししっと笑った。
先日、スクアーロが任務で出かけている間、シルヴィアの面倒はベルフェゴールが見てくれていたのだ。
きっとその時に何か吹き込まれたに違いない。
「まぁーま」
「ママは任務で出かけ……って言ってもわかんねーか」
スクアーロは右腕だけで抱き上げた息子の顔を見ていった。スクアーロの言葉通り、シルヴィアは再びスクアーロの長い銀髪に興味を示していた。
「あんまり引っぱるなよ」
「うん」
幼い息子にそう言ってもわからないだろうと知っているが、息子の機嫌が良い声が聞こえてくるので、スクアーロは安心して仕事の書類にサインした。

fin.

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