パラレル

□飢えを満たして渇きを癒す
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ヴァンパイアは愛する人の血でしか飢えを満たせない
(ヴァンパイア騎士第四十九夜より)


あってると思う
確かに俺のこの渇きを癒せるのはシャルの血だけだから

名も呼ばないで部屋に入ったら、シャルはソファーで寝ていた。
ぬいぐるみを抱えて眠る姿はとても愛らしいと思う。
白い頬を撫でるとシャルの寝顔が歪む。

「んっ・・・」

うめき声をあげてシャルは目を開けた。

「おはよう、シャル」
「・・・・はよう・・・」
「ごめん。昨日はむりさせちゃったね」

シャルの声が枯れている。
小さくシャルは首を振った。

「ねぇ。お腹すいた、シャル」
「ん・・・まって」

シャルはまとっていたポンチョを床に落とした。
肩口が大きく開いた服を着ているので、白い肩がすぐに現われる。
その白い肌には俺がつけた牙の跡が2つ。
肌によく映える牙の跡に妙に興奮した。

「はい、どうぞ」

シャルは首を傾けて俺が血を吸いやすいようにした。
飢えた俺は遠慮もなく白い肌に牙を立てる。
俺の首に抱き付いたシャルは何も言わずに、ただ俺の食事が終わるのを待つ。


俺の牙が離れるとシャルの体から一気に力が抜け、ぐったりとする。
ちょっと飲みすぎたかなと反省しながら抱き上げたシャルをベッドに運ぶ。
止血はしなくても、もう止まっているはずだ。

「おいしかった?」
「うん。ごちそうさま」

寝かせたシャルの額に唇と落とすと、シャルは俺の服をぎゅっと握ってきた。

「シルヴィア、一緒に寝よ?」

シャルのおねだりに俺が断れるはずがない。
貧血気味のシャルを抱きしめて、俺は目を閉じた。

「シルヴィア」
「何?」

シャルは一言、大好きと言ってから眠りに落ちた。

fin.
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