パラレル

□つまり君は、
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朝、シルヴィアが大学へ向かおうとバイクの鍵を手に家を出ると、シャルが図ったようなタイミングで後ろから抱きついてきた。
「おっはよ、シルヴィア!」
「おはよう」
シャルが顔を見せると、シルヴィアは額に軽くキスをした。
「ねぇねぇ、シルヴィア……」
「はいはい。わかってますよ、お姫さま」
シルヴィアは小首を傾げるシャルに予備のヘルメットを渡した。
大学の登校にシルヴィアがバイクを使っていると知ったシャルは毎朝乗せてほしいとねだりにくるのだ。
大学の課題やら何やらで忙しくて以前ほどシャルを構えない申し訳なさもあって、シルヴィアは毎朝シャルを乗せて学園に向かっているのであった。
シャルはシルヴィアと一緒ならといつも嬉しそうだが、シルヴィアにはある悩みがあった。
「どう考えても犯罪だと思うんですけど……」
シルヴィアはぼそりと呟いた。
シルヴィアの恋人であるシャルは中学3年生。
あと3年は制服を着続けるシャルに大学生の自分。
義務教育中のシャルと社会人になれる年齢の自分。
そう考えると、シルヴィアは自分が犯罪者になった気がした。
そんなシルヴィアをシャルはきょとんとした表情で首を傾げていた。

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