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□tomba
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それからキャバッローネ本部に立ち寄り、悠弥は日本に帰国した。
「悠弥!」
三連休明けの学校で、翠が朝から応接室にやってきた。
「おはよう、翠」
「はよっ。イタリアどうだった?」
「時間なくて本部でゆっくりしてる暇なかったよ」
「……じゃあ何しに行ったんだよ」
翠の質問に悠弥は困ったように笑みを浮かべた。
翠はあの時以来、彼の事もあの時の事も忘れてしまっているのだ。大きなショックを受けたと聞いたのだから、仕方のないことだ。
「お墓参りだよ」
「墓参り?誰のだよ?」
「んー……恩人かな?」
悠弥は少し考えた後、そう答えた。
彼は別に悠弥の恩人ではないが、彼が居なければ今悠弥が味わっている幸福はなかったのだ。
「悠弥の恩人?……じゃあ、いつかその人の墓に連れて行ってくれよな」
「Certo.(もちろん)」

いつか記憶を取り戻し、克服した君は絶対にそれを望むとわかっているから。


Fin.
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