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□Miei figli
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「やぁ、正チャン。元気?」
パソコン画面越しに白蘭さんはいつものように笑顔を浮かべていた。
あぁ、妊娠の事を言ってしまおうか。でも子供の父親はわかっていないのに…
多分、僕がγにも抱かれている事、白蘭さん知っているだろうし。
「正チャン……おーい、正チャン?」
「え……何ですか?」
いけない。ボーッとしてしまった。
「いや、特に何も無いよ。正チャンに会いたかっただけ」
「それだけの事で通信してこないでください。盗聴されたらどうするんですか?」
「その時は正チャンの責任って事で」
またこのパターンか、と息をつく。白蘭さん、こういう人なんだよな。
「正チャンは何も無いの?」
「えっ?ええ。こっちは変わりはありませんよ」
並盛の地下にある日本支部は何事も無くて平和だ。平和すぎて日本人特有の平和ボケがうつるとアイリスが言ったくらいだ。
「メローネ基地は平和ですよ」
「違うよ。僕が聞きたいのは基地じゃなくて正チャンの話」
「はぁ…」
白蘭さん、気付いてるみたいな言い方してほしくないな…
「……子供ができました」
口から自然と言葉が出た。言ってしまった、と叫びそうになったけど、こうなったら腹を括るしかない。
「へぇ、誰の子?」
「僕の子です」
「父親は?」
「知りません」
キッパリと答えると、白蘭さんの顔からへらへらした笑いが消え、鋭く厳しいものに変わる。
「正ちゃん、その子は僕の子?それともγの子?」
あぁ、やっぱり白蘭さんは知ってた。
「知りません。僕にとってはどうでもいいことです」
決めた。もうこの子の父親が誰かなんて考えない。
「この子は僕の子です。父親が誰かなんて関係ない」
そう言って僕は一方的に通信を切った。
心がとても痛くて涙がでそうになったけど、大きくなりだしたお腹を撫でながら涙を堪えた。

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