パラレル

□マンガのような出会いも…
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あの朝に会った子、可愛かったなぁ…と放課後までに何回思い出しただろうか。
ホームルームの終わりに母さんからのメールが届いた。
学校が終わったらすぐに会社に来ること。
理由は何も書いてなかった。
書いているのは、来なかったら父さんと母さんの上司であるボスに怒られる………父さんが。
そんな当たり前の光景に笑いながら、俺は悠弥と翠にまた明日と言って教室を出た。
この学園は世界でも一、二を争う大企業、ボンゴレグループの系列会社が経営していて、両親が勤めている会社もボンゴレグループの系列である。
上司がグループの会長の息子なので、規模は小さいながらもグループ内での地位は高い。
学園からバス一本で両親が待つ会社に到着すると、専用パスで会社の中心部である最上階に向かった。
「ゔお゙ぉい、遅いぞ、シルヴィア」
父さんのでかいだみ声に迎えられたので、俺は思わず耳を塞いだ。
「中学生が授業時間長いのはしょーがないし。それにバスがなかなか来なかったんだから仕方ないじゃん」
耳を塞いでいた手を離すと、給湯室からルッスーリアの声が聞こえた。
「シルヴィア、紅茶飲む?」
「飲む!ストレトートで」
「わかったわ。シャルちゃん、食器棚から残ったカップを取って」
シャル?
聞いたことのない名前だな。
新人とか?
でも幹部に欠員出たわけでもないのに………
「落とさないように気を付けてね」
「うん」
給湯室から聞こえた声が妙に聞き覚えがあって、俺は誰だろうと首を捻った。
すると給湯室から今日、何度も思い出していた子がお盆を手に出てきた。
「あっ!」
俺は思わず声をあげた。
その子は俺を見るとにっこり笑った。
青い目に負けないくらいきれいな笑顔だと思った。

それがシャルとの出会い。

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