パラレル

□マンガのような出会いも…
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美術準備室に居た教師にシルヴィアが課題の絵を届けると、中を見た教師はため息をついた。
「お前さぁ……展示会に出すから絶対提出しろって言ったのに………クラスメイトの絵が並ぶ中に1人だけ初等部の生徒って、浮くぞ。お前の絵」
「いいですよ、別に」
シルヴィアはカバンを手に準備室の扉に触れる。
「じゃ、課題は提出したから進級ちゃんとさせてよね」
「ああ。約束したからな」
早く行け、と言わんばかりに教師が手を振ったので、シルヴィアはじゃあねと言って美術準備室を出た。
そして、シャルを待たせている昇降口に早足で向かった。
「お待たせ」
シルヴィアがそう声をかけると、シャルはふっと笑った。
「帰ろっか、シルヴィア」
「そうだね」
シルヴィアが手を差し出すと、シャルはその手を取った。
2人は手を繋いだまま、初めて出会った場所にやってきたので足を止める。
「ここでぶつかったんだ」
「シルヴィアは遅刻寸前で」
「シャルは初等部の校舎がわからなくて迷ってた」
「あ、うん……それね」
シャルは困ったようにシルヴィアから目を逸らした。
「実は……迷ってなかったの」
「えっ?」
「本当はここが中等部の敷地って知ってて、シルヴィアを待ってたの………ぶつかるとは思いもしなかったけど」
シルヴィアは唖然としながら尋ねる。
「………何それ?」
「いや…スクアーロとベルフェゴールの息子が転校する学校に居るって聞いたから……一目会いたくて」
シャルは顔を赤くすると、シルヴィアは1人笑い声をあげた。
「シャルは俺の事、知ってたのに、俺だけシャルの事知らなかったなんてずるいよ」
「うぅっ……ごめんね」
上目遣いに謝るシャルが可愛くて仕方ないので、シルヴィアは思わずキスした。
2人の唇が離れると、赤くなった頬をさわやかな風が撫でた。

Fin.

マンガのような出会いも彼の計画だったかもしれない
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