パラレル

□誘惑されるのはお嬢様か執事か・・・
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翠が通う名家の令嬢ばかりを集めた全寮制の学園では3時にアフタヌーンティーの時間が用意されていた。
翠はクラスメイトのシャルと共にティータイムを楽しんでいた。
「ん、うまい」
チョコレートクリームのロールケーキを一口運んだ翠は満足気に頷く。
「本当おいしいですね。さすが悠弥さんの選んだ一品ですね」
シャルが笑顔で言うと、控えていた悠弥は恐れ入りますと頭を下げた。
しかし悠弥の名前が出ると翠は顔を歪めた。
真っ先に気付いたシャルはおや?と言うような顔をした。
その時、シャルの執事であるシルヴィアがやってきた。
「失礼いたします、シャル様。お屋敷からお手紙が届きました」
「ありがとう、シルヴィア」
シャルはそれを受け取ると、裏の差出人を確認してからシルヴィアにそれを返した。
「ベッドの枕元に置いておいて」
「かしこまりました」
シャルはそう言うと席を立った。
「翠様、ちょっとお話したいことがあるのでお散歩にいきませんか?」
「あ、ああ……」
翠は名残惜しそうにフォークを置いて立ち上がる。
「お供いたします」
悠弥とシルヴィアが揃って言うと、シャルはだめと言った。
「お嬢様同士の内緒話なんだから執事はいい子で待ってなさい!」
シャルはびしっ!と2人の顔に人差し指を向けると、翠の腕を取った。
「あ、バラ園のあたりに居るから迎えに来るならその辺にね、シルヴィア」
シャルがウインクをすると、シルヴィアはかしこまりましたと言って頭を下げた。

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