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□拍手ログ agosto
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夏といえば? その1 風鈴

軒下に吊るされた風鈴が風に揺れて軽やかな音を響かせた。
「あぁ、涼しげですね」
「銅鐸の風鈴はあまり見ませんからね」
凛音が笑みを浮かべ、その隣では千冬が風鈴をじっと見上げている。
「なんか変な音しねーか?この風鈴」
「翠だけだよ。絶対音感のせいじゃない?」
翠が耳を塞ぎながら首を傾げる一方で、悠弥は暑がっている翠を団扇で扇ぐ。
「ねぇ、君たち」
広い和室の向こうから部屋の主――雲雀の声が聞こえてきた。
「そんなに風鈴が珍しい?」
4人はそれぞれ自分なりの肯定の返事をした。
イタリアで生まれ育った翠と悠弥。地下アジトで育った凛音と千冬。この4人からすれば、風に揺れる風鈴は珍しいものなのだ。
「仕事の邪魔するなら噛み殺すからね」
再び、4人は自分なりの返事をした。
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