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□セーラー服
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「…とゆーワケなんだ」
「大変だったね」
悠弥のマンションに逃れてきた翠は恋人に事情を説明すると、予め出された冷茶で喉を潤した。
「まったく、親父のセクハラにも困ったもんだよ」
「翠がカワイイからでしょ」
「カワイイって言うなっ!」
ムキになって起こる翠に、ごめんごめんと言いながら悠弥は笑った。
「そうだ、cioccolato食べる?」
「食べる!」
イタリア語でチョコレートと聞くと、途端に翠は笑顔になった。皿に乗せられたチョコレートがやってくると、翠は早速その1つを口の中に入れた。
「んーうまい!」
悠弥もその1つを食べていると、翠の目が潤んできたのがわかった。
「悠弥、何だよ、これ。口の中が焼けるように熱いぞ」
「ん、そうかな?」
冷茶を慌てて飲む翠に、悠弥は涼しげな笑みを浮かべた。
翠の頬がうっすらと紅潮しだすと、翠は落ち着かないのかソワソワしだした。
「どうしたの、翠?」
「え…いや、何か、暑くて…」
「クーラーの温度下げようか?」
「…うん」
意地っ張りな翠が珍しく素直に答えたのだが、悠弥はワザとエアコンの設定温度を上げた。
それに気付かず翠はさらに頬を紅潮させ目を潤ませる。
「あっ、つい…ぬぐー」
翠は舌足らずな声で言うと、制服をもそもそと脱ぎ出した。
翠がワイシャツとズボンだけになると、悠弥は翠を抱き寄せ軽くキスをした。数回それを繰り返すと、翠は自然と悠弥の首に腕を回した。
「ゆぅ、やぁ…」
「翠……クーラーの温度下げてあげるって言ったけど、実はクーラーの温度上げてたんだ」
ほら、とリモンコンを見せれば、翠は普段では上げそうにない高い声を出す。
「えー…いじわる」
「うん、そうだな。でも、これ着てくれたら、クーラーの温度を下げてあげるよ?」
そう言って悠弥はどこからか赤いリボンのセーラー服を取り出した。武が先程、翠に着るように言ったセーラー服とはデザインが少し違うが、スカートの長さは大して差がなかった。
「ん……わかったぁ」
翠は素直に頷くと、自分のワイシャツのボタンに手をかけた。
体育の時間でもなければ、人前ではしないだろう光景に、悠弥は満足しながら翠の白い肌を人差し指で触れる。
「んー、さわんなぁー」
「ごめん、ごめん」
悠弥は謝ると、目の前でストリップしている恋人から目を反らさずに、エアコンの設定温度を下げた。
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