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□セーラー服
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「んーっ…入んない」
かぶり型のセーラー服に翠が苦心している理由は、脇にあるジッパーを降ろしていないからである。
悠弥はその事を教えてあげようかと迷っていた。頬を染めて翠が必死になっている姿が見れなくなるのが惜しいからだ。
「ゆーやっ…助けて?」
小首を傾げた翠が悠弥に上目遣いで助けを求めると、悠弥は己の理性が崩壊するような気がした。
しかし、今回の目的を思い出し、どうにか踏みとどまる。
「あぁ…わかったぁ」
小さな子供のように頷いた翠は、脇のジッパーを降ろして、セーラー服を着た。次にスカーフを結ぼうとするのだが、上手くいかず翠はあれ?と首を傾げた。
「スカーフは後でやってあげるから、先にスカートにはきかえれば?」
「うん」
翠がミニスカートにはきかえる様子を見ながら、悠弥はゆるんでいる頬をさらにゆるめた。
半袖のセーラー服から伸びる白い腕。ニーソックスをはいて、ほっそりとした若鹿のような足。雪のような白い肌がいつもより出ている事に、悠弥はとても満足していた。
「ゆーや、着たよ」
「よく着れたね、翠」
膝の上に自分から乗ってきた翠が落ちないように、悠弥は翠の細い腰に手を回した。
「じゃあ、ご褒美をあげなきゃね」
悠弥はそう言って、翠に深いキスをした。口内を舌で舐めまわすと、翠が求めるように自分の舌を絡めてきた。
悠弥はキスしながら、このまま翠を自分の寝室に連れ込みたいと考えていた。
だが、唇を離すと、翠の胸元で放置されたままのスカーフを結んだ。
「翠、ちょっと立って」
悠弥はそう言うと、翠は素直にフローリングの床に立った。悠弥が上から下まで細かい所をチェックしていると、翠が自分の二の腕に手をやった。
「ゆっや……寒い……」
「え?あぁ、ごめん。着替えてる翠に夢中で、温度下げすぎたみたい」
リモコンを見て驚きながら、悠弥はエアコンの温度を下げる。
そして座り込んだ翠に近付き、ちょっと待っててねと優しくキスをした。
自室から戻ってきた悠弥の手には学ランとデジカメがあった。
悠弥は翠に学ランを羽織らせると、デジカメを構えた。
「翠、こっち向いて?」
疑問形で言うと、翠はとろけるような目でカメラの方を見た。悠弥はシャッターチャンスを逃さずにシャッターを押した。
「もう一枚ね」
悠弥はそう言うと、ケータイのカメラを起動させ、翠の全体像を撮った。
「これで、よしと」
短いメールを打つと、悠弥はケータイをしまい、翠の口にチョコレートを1つ持っていった。
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